書評空間::紀伊國屋書店 KINOKUNIYA::BOOKLOG

プロの読み手による書評ブログ

2007-08-17から1日間の記事一覧

『千年の祈り』イーユン・リー(新潮社)

→紀伊國屋書店で購入 「ことばの「引っ越し」と潔い孤独」 イーユン・リーというはじめて名前を聞く作家の短編集を手にとる。 中国系の女性作家であることが、カバーの著者紹介からわかる。1972年に北京で生まれ、96年に渡米し、 現在はカリフォルニアのオー…

『観る─宇宙からの出発─』大野一道(芸術現代社)

→紀伊國屋書店で購入 著者の大野は歌手である。円熟の境地にさしかかる50代で、すばらしい声の持ち主だ。もともとは西洋音楽のジャンルからスタートしたものの、そこに自分自身と融合しきれない一種異質なものを感じ、日本語で歌う、日本人としての表現を追…

『大発作-てんかんをめぐる家族の物語』 ダビッド・ベー[作] 関澄かおる[訳] (明石書店)

→クリックして画像を拡大 『大発作』pp.304-305 →紀伊國屋書店で購入 フランス版『ガロ』が、ベー・デーを転倒させてのデー・ベー 日本のマンガ、アメリカのコミックスとともに20世紀漫画史のひとつの極とされてきたフランスのバンド・デシネ、いわゆるB.D…

『中世とは何か』J.ル=ゴフ(藤原書店)

→紀伊國屋書店で購入 「中世に魅せられて」 中世史家ジャック・ル=ゴフの「専門家以外の一般読者をも対象とする……ほぼ初めての邦訳書」(p.306, 訳者解説)であるが、インタビュー形式で、ル=ゴフが自分のそれまでの生涯を振り返りながら、仕事について語る…