書評空間::紀伊國屋書店 KINOKUNIYA::BOOKLOG

プロの読み手による書評ブログ

2005-08-01から1ヶ月間の記事一覧

『海のかなたのローマ帝国−古代ローマとブリテン島』(岩波書店)

→紀伊國屋書店で購入 本書評は、早瀬晋三著『歴史空間としての海域を歩く』または『未来と対話する歴史』(ともに法政大学出版局、2008年)に所収されています。 かつて日本の西洋史学の大家が、自信をもって「近代をリードしたヨーロッパの歴史を紹介するの…

『複雑な世界、単純な法則』(草思社)

→紀伊國屋書店で購入 「知り合いの知り合いをたどっていくと、6ステップで世界中のどの人とも繋がる」という考え方をご存じだろうか。これを聞くと「そんなばかな」と思う人がほとんどである。6人分の知り合いをたどっていったら伊東美咲やチャン・ツィイー…

『ワイナートダイアリ』(美術出版社)

→紀伊國屋書店で購入 「wine diary message in a bottle」 「たとえばラフィットの矜持、ラトウールの豪奢、オーブリオンの寛容。ワインの形容を自ら探し、意味を問うのは、趣味の内奥に足を踏み入れるための基本である。」出だしからしてこう言われても、私…

『インドネシア−イスラーム主義のゆくえ』(平凡社)

→紀伊國屋書店で購入 本書評は、早瀬晋三著『歴史空間としての海域を歩く』または『未来と対話する歴史』(ともに法政大学出版局、2008年)に所収されています。 オーストラリア政府は、今年になってからも新たなテロ攻撃の可能性があるとして、インドネシア…

気がついた気になる雑誌<br>『Sound & Recording』293号<br>「膨大な数のモジュラーシンセで作り上げた最新アルバムの秘密」<br>(リットーミュージック)

→紀伊國屋書店で購入 「2度とその音に戻れない 明らかに一線を画する 卒業写真のあの人は 優しい目をしてる」 首都高速の3号線を上ると、真正面に六本木ヒルズのビルが見えてくるということに最近気がついた。何か昔どこか気になる映画で観たような、異様…

ウェルベル・コレクション、I「蟻」、II「蟻の時代」,III「蟻の革命」(角川書店)

読み終わってみての感想は、「やっぱり本って面白いな」のひとことです。この作品自体が面白いのは言うまでもありませんが、その面白さをうんぬんする前に、「本」という表現自体の面白さをあらためて思い知らされた感じがします。 なぜそんなことを思ったん…

井上ひさしコレクション『ことばの巻』(岩波書店刊)

[劇評家の作業日誌](7) 7月下旬から8月初旬にかけて、フランスへ演劇の旅に出た。世界的なフェスティバルであるアヴィニョン演劇祭に行くのが目的だった。 アヴィニョンといえば、1309年、法王がローマから居住を移し、一時期教皇権を置いた地とし…

『イスラーム世界の創造』(東京大学出版会)

→紀伊國屋書店で購入 本書評は、早瀬晋三著『歴史空間としての海域を歩く』または『未来と対話する歴史』(ともに法政大学出版局、2008年)に所収されています。 まず、「終論「イスラーム世界」史との訣別」という目次の最後が気になった。わたしは、通常「…

気がついた気になる雑誌<br>『広告批評』<br>288号「2004広告ベストテン」<br>(マドラ出版)

→紀伊國屋書店で購入 「部活、夏合宿、 今になって分かる事」 「お前のスパイクは、いつまでたっても体が流れるなあ」 これは4年でレギュラーになっても、どうしても直らない私のくせだった。 nikeに「部活」というCMがある。 昨年の「広告批評」の広告ベス…

『古楽とは何か』(音楽之友社)

→紀伊國屋書店で購入 音楽芸術は変化する。聴衆の好みも、演奏家が訴えようとすることも、時代とともに変わる。その中で尺度となるのが「作曲家はどう感じていたのだろう」「創作当時の音楽環境はどうだったのか」という、オーセンティシティーに関する考察…

『新版 雑兵たちの戦場−中世の傭兵と奴隷狩り』(朝日新聞社)

→紀伊國屋書店で購入 本書評は、早瀬晋三著『歴史空間としての海域を歩く』または『未来と対話する歴史』(ともに法政大学出版局、2008年)に所収されています。 もう10年以上前になるだろうか。マニラの特派員から「16世紀末のヨーロッパの沈没船から日本刀…

『日露戦争の世紀−連鎖視点から見る日本と世界』(岩波新書)

→紀伊國屋書店で購入 本書評は、早瀬晋三著『歴史空間としての海域を歩く』または『未来と対話する歴史』(ともに法政大学出版局、2008年)に所収されています。 近くの神社や公園にある立派な記念碑を見ると日露戦争記念のものだったり、多くの日本人が春に…

『40歳からのピアノ入門』(講談社)

→紀伊國屋書店で購入 「Closer to God」 私の求める音は年と共に増々過激になって、自分でもこうなるとは思いもよらなかったのですが、この10年位は、通常のいわゆるハードロックでは何とも感じなくなってしまっていました。いわゆるロック不感症、かなり重…