2012-07-01から1ヶ月間の記事一覧
→紀伊國屋書店で購入 『舞姫』の現代語訳が必要とされる現状は残念であるが、井上靖が訳した『舞姫』があるというので読んでみた。 もともとは1982年に学研から出た『カラーグラフィック明治の古典』シリーズの鷗外の巻のために訳されたが、2003年に筑摩書房…
→紀伊國屋書店で購入 エリスのモデル、エリーゼ・ヴィーゲルトの実像が判明したのだから今さらであるが、何が書いてあるのだろうという好奇心から読んでみた。ユダヤ関係では凡人には理解しがたい天才的なひらめきで書かれた本をよく見かけるが、本書も超天…
→紀伊國屋書店で購入 餅状の皮のなかに黒蜜とくるみのつまった花巻の「経木まんじゅう」。うす小豆色で持ち重りのする青森の「久慈良餅」。最中の皮にしゃりしゃりと砂糖で固めた小豆がのった酒田の「豆皿」。三角に折りたたんだクレープのような生地にあん…
→紀伊國屋書店で購入 「望ましいネットワーク社会を考え続けるために~ネットワーク社会論の新たな古典」 本書は、南カルフォルニア大学教授であるマニュエル・カステルによって書かれた学術書である。インターネット社会を理解するための、あるいはインター…
→紀伊國屋書店で購入 「円形の小宇宙、そこに生起する生命感」 具象と抽象を分けるものは何だろう。両者にはっきりとした境界はあるだろうか。抽象は表現者のどのような衝動から生じるのか。とそんな考えにふけることがある。 抽象化への情熱はどんなメディ…
→紀伊國屋書店で購入 本書は「21世紀への挑戦」全7巻の1冊で、「刊行にあたって」本シリーズが目指したのは、「人類史、社会史の劇的変化の解明」である。ほかの6巻のタイトルは、つぎの通りである:「哲学・社会・環境」「グローバル化・金融危機・地域再生…
→紀伊國屋書店で購入 「効率的な会議のあり方を考えるために」 「三人寄れば文殊の知恵」ということわざがある。多忙な合間を縫って、信頼のできる優秀な仕事仲間と意見交換をする時間をなんとか確保できると、頭を悩ませていた問題が一気に解決し、先行きが…
→紀伊國屋書店で購入 「脱常識トレーニングのためのSFマンガ 」 社会学は、よく脱常識の学問だと言われる。人々が「当たり前」のものとして自明視してきた考え方が、決して「当たり前」のものではないということ、すなわち、社会的、歴史的な背景をもって…
→紀伊國屋書店で購入 『舞姫』が海外でどう読まれているかを研究した本かと思って手にとったが、まったく違った。本書はよく知られた名作を従来とは異なった視点から若い読者に紹介する「理想の教室」シリーズの一冊だが、『舞姫』を祖国喪失文学として読も…
→紀伊國屋書店で購入 昭和23年に三十六歳で逝った松本竣介との交流をめぐる、著者の戦中・戦後史である。 著者と竣介との出会いは昭和18年、「新人画会展」というグループ展に出品されていた作品がきっかけだった。この在野の展覧会は、美術展といえば戦争画…
→紀伊國屋書店で購入 昭和8年に森於莵が父親のドイツ人の恋人の存在をおおやけにして以来つづいていた『舞姫』のモデル探しに終止符を打った本である。 著者の六草いちか氏はベルリンに20年以上在住するジャーナリストで、リサーチの仕事もしているという。…
→紀伊國屋書店で購入 2012年11月19日、NHK BSで「鷗外の恋人~百二十年後の真実~」というドキュメンタリ番組が放映された。本書はその書籍版である(DVDも出ている)。 著者の今野勉氏は番組をNHKと共同製作したテレビマンユニオンのプロデューサーで、鷗外…
→紀伊國屋書店で購入 難解をもって知られる鷗外の「我百首」を「舞姫事件」を解読格子に読みとこうという試みである。本書でいう「舞姫事件」とはエリスのモデルと考えられるエリーゼ・ヴィーゲルトの来日事件だけでなく、最初の妻赤松登志子との結婚と離婚…
→紀伊國屋書店で購入 最近『舞姫』のエリスのモデルと考えられるエリーゼ・ヴィーゲルトについて決定的な発見があり、エリス問題が再びかまびすしいが、そんなことは所詮モデル探しにすぎず、文学とは関係がないという見方もなりたつだろう。 エリーゼが『舞…
→紀伊國屋書店で購入 表題は「留学始末」となっているが、上京した頃から説き起こし、ドイツ留学から帰って赤松登志子と結婚するまでを語っている。山﨑國紀氏の『評伝 森鷗外』でいうと33ページから109ページにあたる時期に340ページを費やしている(山﨑本…
→紀伊國屋書店で購入 「新たなプレッピーのハンドブック」 1980年。ニューヨークでプレッピー・ファッションが流行しだした頃、僕はマサチューセッツ州ボストンで大学生をやっていた。81年にはハーバード大学でサマーコースを取り、ハーバード・スクエ…
→紀伊國屋書店で購入 「読後、心地よい風が吹く作品」 日本に一時帰国するたびに、気になる言葉が増えてくる。こちらが普段海外に住み、目まぐるしく変わる日本語に対応できていないのが原因か、歳を取ると共に若者との感覚がずれてくるせいかは分からない。…
→紀伊國屋書店で購入 2007年に刊行された鷗外のもっとも新しい評伝である。著者の山﨑國紀氏は天理図書館に秘蔵されていた鷗外の母、峰子の明治32年から大正4年にいたる17年間の日記を『森鷗外・母の日記』として翻刻した人で、本書にも重要な資料としてたび…
→紀伊國屋書店で購入 一葉を見知った人たちによる、作家の肖像(ポルトレ)。 研究書のみならず、彼女にまつわる書物は数しれず、映画にもなり、お芝居にもなって、それでもなお、一葉の世界に惹かれる者にとって、その人となりへの興味は尽きることがない。…
→紀伊國屋書店で購入 鷗外森林太郎は文久二年(1862)に石見国津和野で生まれた。2012年は生誕150年にあたる。 宗像和重『投書家時代の森鷗外』(岩波書店 2004)のように未発見原稿や資料の発掘は今でもつづいているから、本当だったら新しい全集や選集が編ま…
→紀伊國屋書店で購入 オーストラリアやカナダは当然独立国で、歴史的にイギリスとのかかわりが強い、くらいにしか一般の日本人は思っていないだろう。『世界史小辞典』(山川出版社、2004年)をみると、オーストラリア、カナダは、それぞれつぎのように説明さ…
→紀伊國屋書店で購入 中公版『哲学の歴史』の第五巻である。このシリーズは通史だが各巻とも単独の本として読むことができるし、ゆるい論集なので興味のある章だけ読むのでもかまわないだろう。 本巻は副題が「デカルト革命」となっており、17世紀に起きた知…
→紀伊國屋書店で購入 「ユーモアあふれるエッセーから社会を垣間見る」 今回は、いま話題の難病体験記を取り上げてみたいと思います。著者の大野更紗さんは1984年生まれ。上智大学フランス語学科に進学後、ビルマ(ミャンマー)難民との出会いから、民主化運…
→紀伊國屋書店で購入 まずは単純明快に感想から述べよう。コンパクトながらも手にした時に充実した質感を感じられる、とても美しい本である。内容もこの本ならではの貴重なもので、クラシック音楽ファン、とりわけバロック音楽愛好家にとっては愛蔵して決し…
→紀伊國屋書店で購入 「果てしなく続く「善」と「悪」との戦い」 アイザック・ニュートン、イエス・キリスト、ジャンヌ・ダルクなど人類の歴史を大きく変えた人物たち。彼らはみんなトラベラーだった。 スリラー作家ジョン・トェルブ・ホークスの『Traveler…
→紀伊國屋書店で購入 「中高年でも入門できます」 ご多分に洩れず、筆者も『リバーズ・エッジ』を起点に〝岡崎めぐり〟を始めた男性読者の一人である。いや、小学生の頃はそれなりの漫画読みとして鳴らしたつもりだが、中学から入った寮が「漫画禁止」&「見…
→紀伊國屋書店で購入 「「アート」から見た「現代日本の転機」論」 わたしたちは今でも「ジャポニスム」の夢を見たいのだろうか。その21世紀版たる「クール・ジャパン」は、ここ数年来、日本政府も旗振り役を務めている。そんな「クール・ジャパン」に冷や水…
→紀伊國屋書店で購入 どこの国の警察も同じようなものだと思って、歴史書を読んでいると、よくわからないことがあった。同じ国なのに地方によって役割が違っていたり、軍隊との区別がつかなかったりで、疑問に思ってはいたが、そのままにしていた。そんな疑…
→紀伊國屋書店で購入 2012年6月30日、エジプト大統領選に当選したムハンマド・ムルシ氏が、正式に大統領に就任した。ムルシ氏は、穏健派イスラーム団体のムスリム同胞団が擁立し、自由な選挙で選ばれた初の文民大統領である。この報道を聞いた人の多くが、「…
→紀伊國屋書店で購入 「マルクス『資本論』から考えるこれからの働き方」 ホントに見事なタイトルである。思わず肯いてしまう人もいることだろう。 しかし本書は、ありがちな「転職」や「独立」や、ましてや「サボリ」を勧めるような類の本ではない。マルク…