書評空間::紀伊國屋書店 KINOKUNIYA::BOOKLOG

プロの読み手による書評ブログ

今泉洋

『絵本の心理学〜子どもの心を理解するために』佐々木宏子(新曜社)

→紀伊國屋書店で購入 美術大学を卒業するためには四年間の勉強の成果を作品というカタチにまとめることが必要です。武蔵野美術大学には日本画、油絵、彫刻といったファインアート系の学科や工芸、建築、映像、グラフィックスなどのデザイン系など合計11学科…

『情報のみかた』山田奨治(弘文堂)

→紀伊國屋書店で購入 学科名に「情報」という言葉を持つ、美大では数少ない学科にいると、あらぬ誤解を受けることが少なくありません。ちょっと前まで、受験生からは「パソコンで絵を描く学科」、「ゲームをデザインする学科」と思われていたり……。おそらく…

『乱世を生きる……市場原理は嘘かもしれない』橋本治(集英社新書)<br>『『脳』整理法』茂木健一郎 (ちくま新書)

→「乱世を生きる……市場原理は嘘かもしれない」紀伊國屋書店で購入 →「『脳』整理法」紀伊國屋書店で購入 今年も入学試験シーズンが終わりましたが、一般大と違って美大には実技試験という独特の試験があります。これは何種類かのモチーフを用意して鉛筆デッ…

『福野礼一郎の宇宙(甲・乙)』(双葉社)

→福野礼一郎の宇宙(甲)を購入 →福野礼一郎の宇宙(乙)を購入 デザイナーを志す人のための必読書というと小難しい理論書ばかりを連想するかもしれませんが、そんなものばかりでもありません。気軽に読めて奥が深いものの筆頭に、グラフィック・デザイナー…

『現代デザイン事典(2005年版)』(平凡社)

→紀伊國屋書店で購入 IT業界ほどではありませんが、ここ数年、デザインの世界も急速に姿を変えています。変化の激しい分野のほとんどがそうであるように、この動きは一つの方向からだけ眺めていたのでは理解できません。デザインの場合、少なくとも素材等の…

『急がば廻れ’99』鶴岡雄二(音楽之友社)

→紀伊國屋書店で購入 「青春とポップスの甘い思い出に負けない大人になる?」 新しいことに出会ったとき、大きく分けて人は二通りの反応をするようです。1つは、「ああ、世の中そんなものだと思ってた」というもの。もう1つは「え! まさかそんなことだっ…

ウェルベル・コレクション、I「蟻」、II「蟻の時代」,III「蟻の革命」(角川書店)

読み終わってみての感想は、「やっぱり本って面白いな」のひとことです。この作品自体が面白いのは言うまでもありませんが、その面白さをうんぬんする前に、「本」という表現自体の面白さをあらためて思い知らされた感じがします。 なぜそんなことを思ったん…

『五感”再生へ—感覚は警告する 』(岩波書店)

ここ数十年の間、世の中は明けても暮れても情報!情報!です。これが何を意味しているのか、私たちはもっとよく考える必要があるのではないか……。この本を読み始めてまず思いついたのはこのことでした。 現代ではきわめて多くの、かつリッチな情報接触を通じ…