2010-09-01から1ヶ月間の記事一覧
→紀伊國屋書店で購入 哲学者デカルト、劇作家コルネーユ、女王クリスティナの三人を通して17世紀の時代精神を読みとろうとする試みである。本書は仏訳版からの邦訳で原著の一部が割愛されているが、重訳ながら訳文はカッシーラの重厚な風格をよく伝えている…
→紀伊國屋書店で購入 七〇年代のはじめの京都。ヒロインは、烏丸今出川にある喫茶店・駱駝館の娘、森下ろまん、十四歳。 ろまんの母親がそれまでの仕事を辞め、娘とふたり、山科の実家を離れて喫茶店をはじめたのは、ろまんが学校へ行きたくない、と言い出し…
→紀伊國屋書店で購入 音楽書籍の中では常に売れ筋上位にランキングされている『これで納得!よくわかる音楽用語のはなし』(2006年9月の書評で紹介)の姉妹版が登場した。「これで納得!」が「ひと目で納得!」になったところからも想像できるように、新著で…
→紀伊國屋書店で購入 「知識人たちを絶望させる日本社会」 大学教員という希望する職につけない。その絶望的な状況のなかで、いま博士号を取得した知識人たちが何を考えているのかを活写している。 「高学歴ワーキングプア」という言葉をつくった著者は、自…
→紀伊國屋書店で購入 デカルトがストックホルムで客死してから四半世紀がたった1676年6月1日、デカルトが最期まで手元においていた文書を秘蔵するパリのクレルスリエのもとを若きライプニッツが訪れるところから本書ははじまる。クレルスリエは独占欲が強く…
→紀伊國屋書店で購入 「急激な人口減少が、経済を動かしていく」 少子化と高齢化が進行する日本。この二つの現象をひとくくりにして「少子高齢化」と言われる。決まり文句になっているが、これはまったく別の現象を、ひとまとめにしている。意味が曖昧になっ…
→紀伊國屋書店で購入 「アメリカを代表する作家ジョナサン・フランゼンの新刊」 この8月31日、ジョナサン・フランゼンの「Freedom」が発刊された。発行日の1週間以上前、8月23日付けタイム誌が僕のメールボックスに届き、その表紙がフランゼンだった…
→紀伊國屋書店で購入 デカルト研究の第一人者、ジュヌヴィエーブ・ロディス=レヴィスによる伝記である。ロディス=レヴィスは大著『デカルトの著作と体系』(紀伊國屋書店、絶版)とクセジュ文庫の『デカルトの合理主義』(白水社)が邦訳されている。 デカ…
→紀伊國屋書店で購入 フランスのジャーナリスト、ディミトリ・ダヴィデンコが書いたデカルトの伝記小説で、原題を直訳すれば『醜聞の人デカルト』である。 読みはじめて啞然とした。一般に流布しているデカルト像とあまりにも違うのだ。語り口も講談調でまさ…
→紀伊國屋書店で購入 「60余年を経て発表されたユダヤ系フランス人女性の日記」 前回取りあげたジェラルディン・ブルックスの『古書の来歴』は、ユダヤ教徒が過越しの祭りのときに読むハガダーという書物の物語だった。本来は挿画を入れてはいけないはずなの…
→紀伊國屋書店で購入 「風景の歴史」 本書を読んでつくづくと関心するのは、日本の風景を構成している植物にも長い歴史があるということだ。山歩きをしていて里山におりてくると、杉林にであうことが多い。それまでの明るい道とは一変して、陽の指さないうっ…
→紀伊國屋書店で購入 シリーズ「レクチャー 第一次世界大戦を考える」の1冊である。帯に、「兵役拒否者は、独善的な臆病者なのか?」と大書してあり、その上に、「未曾有の総力戦を背景に、史上初の徴兵制実施に踏み切ったイギリス。その導入と運用の経緯を…
→紀伊國屋書店で購入 「怪傑乙女の華麗な冒険!」 今年も夏の一時帰国時に京都へ寄った。第一目的は先斗町のバーである。ここの所毎年通っている。目立たない所にあるのだが、一等地なのに料金は非常にリーズナブルで、殆ど年中無休で開いている。お客さんは…
→紀伊國屋書店で購入 現代アイルランドの作家、ジョン・バンヴィルによるケプラーの伝記小説である。バンヴィルは本作の前後に『コペルニクス博士』(白水社、絶版)と『ニュートン書簡』(未訳)という科学者の生涯に取材した小説を書いていて「科学革命三…
→紀伊國屋書店で購入 「見聞から導き出すナショナリズムの倫理」 本書は、自身が複雑な民族的出自をもつ著者が、1993年の時点で、民族紛争の激しい地域を取材に訪れ、民族・国家とは何かを問うたルポルタージュである。著者はBBCのテレビドキュメンタリーと…
→紀伊國屋書店で購入 「〝いやな奴〟を語る」 「文豪はみんな、うつ」と言われたら、「そりゃ、そうでしょう」と間髪おかずに応じてしまいそうな気がする。小説家には精神的な鬱屈のイメージがよく似合う。健康優良児で明朗快活な小説家なんて想像できない。…
→紀伊國屋書店で購入 「リキッド・モダンの世界からの44通の手紙」 このごろ思想界で大モテのオジイサンといえば、ポーランド出身の社会学者ジークムント・バウマン(英リーズ大学名誉教授)。1925年生まれというから、今年で御年85歳か。著書がどんどん訳さ…
→紀伊國屋書店で購入 「25年を超える年月を費やし書きためたマキナニーの短編集」 レイモンド・カーヴァーのもとで学び、80年代を代表する小説「Bright Lights, Big City」を書いたジェイ・マキナニー。彼はそれ以降、6作の長編と2冊のエッセーを出版…
→紀伊國屋書店で購入 「第三世代のドイツのユダヤ人たち」 上山の『宗教と科学』の巧みな整理によると、ドイツのユダヤ人論は大きく分けて三つの世代に分類できる。実世代ではなく、精神的な世代である。第一世代はフランスの啓蒙の精神を受け入れて、ユダヤ…
→紀伊國屋書店で購入 「根源的な生き難さへの問い」 さまざまな研究やドキュメンタリーなどで「素晴らしい介護の実践」や「これからの社会の切り札となる介護」が紹介される時、何か違和感を覚えることはないでしょうか。それは、確かにそれが素晴らしいもの…
→紀伊國屋書店で購入 「王様と戦争」の歴史にかわる、社会史や全体史の重要性が唱えられて久しい。しかし、ちょっと考えてみると、「王様と戦争」を中心に語ってもかまわない、いや語った方がいい時代や社会もあれば、そうでない時代や社会もある。「王様と…
皆様お久しぶりです。 今回は趣向を変えまして、紀伊國屋新宿本店で開催しているフェアの紹介をしてみたいと思います。 一口にフェアといいましても大小さまざまありまして、各売場で行っている季節ものや著名人フェア、出版社さん協賛のものから、常設企画…
→紀伊國屋書店で購入 「負け組としての『アンアン』」 『アンアン』と言っても、私には今まで反感を持ったという記憶しかない。70年代に『アンアン』(平凡出版)と『ノンノ』(集英社)という大判の女性グラビア雑誌を手にした若い女性たちが、その雑誌のモ…
→紀伊國屋書店で購入 一基にひとつの「火の見櫓物語」のスタートに 敦ちゃんちと俊ちゃんちの間に火の見櫓はあった。昭和40年代、山形県の内陸部の小さな集落を通る道と用水路が交わる地点で、近くには消防団のポンプ車庫がある。半鐘の音を聞くのは春と秋の…
→紀伊國屋書店で購入 「とんでもなく面白い、20世紀メディア文化論」 ともかく、とんでもない本である。20世紀のメディア文化(レコードと映画という視聴覚文化)とは何だったかを改めて考え直そうというのだから、議論のテーマがとんでもないというわけでは…
→紀伊國屋書店で購入 本の売れ行きを日々眺めていると、つくづく、ビジネス書ってたくさん出てたくさん売れるものだと感心する。もちろんジャンルを問わず売れる本もあれば売れない本もあり、そもそもジャンルという区切りも微妙に曖昧ではあるが、それにし…
→紀伊國屋書店で購入 歴史学とはやっかいな学問である。いくら説明しても、なかなかわかってもらえない。それは、だれもがよく知っている歴史の延長線上に、学問としての歴史学があると勝手に思って、わかろうという気もないからである。世間一般の人びとが…
→紀伊國屋書店で購入 「宗教と哲学」 2003年1月にハーバーマスとヨーゼフ・ラッツィンガー枢機卿が対話をした時には、世界的な注目を集めたという。若い頃には革新的な姿勢を示したラッツィンガーだが、その頃にはすっかり保守化して、カトリックの右派とみ…
→紀伊國屋書店で購入 「筋肉と骨と我慢」 読んで突出して印象に残った箇所があった。全部で7つの章からなるこの作品の第3章にある場面だ。火星に向かう宇宙船の中で精神に異常をきたした乗組員ノノは、投薬された上、動けないように固定されている。主人公…
→紀伊國屋書店で購入 「「かがくのとも」が、好きだった。」 復刻の大ニュース! 急いで予約をしなくては! 「こどものとも」と一緒に、毎月本屋さんが届けてくれた。 我が家の玄関に、50CCバイク、(カブ)がとまり、 本屋さんが降りてきて、荷台のケース…