書評空間::紀伊國屋書店 KINOKUNIYA::BOOKLOG

プロの読み手による書評ブログ

2006-05-01から1ヶ月間の記事一覧

『中国人の南方見聞録』 小川博編 (吉川弘文館)

→紀伊國屋書店で購入 鄭和の南海遠征に通訳官としてしたがった馬歓の『瀛涯勝覧』の邦訳である。詳しく書けば、300有余ページのうち、最初の200ページが邦訳、残りの100ページが解説である。邦訳には各条ごとに訳注と簡単な地誌的解説、さらに『星槎勝覧』の…

『トーキョー・バビロン』馳 星周(双葉社)

→紀伊國屋書店で購入 BGM(Ministry/The Land of Rape and Honey(1988)) 「時は流れる 絶望的なほどの速さで 目の前を流れ去っていく」 ロウの入り方が違って、その引っ張り具合が違って、ロウから2速、2速から3速へのタイミングも、どうもタコメータ…

『中国が海を支配したとき』 ルイーズ・リヴァシーズ (新書館)

→紀伊國屋書店で購入 鄭和の南海遠征を大きな歴史のうねりの中に位置づけた本である。著者のリヴァシーズはジャーナリストだが、中国、台湾、英国、アフリカの専門家に広く取材し、特に鄭和がゆかりが深く、養子の子孫が残る(!)南京には長期にわたって滞…

『フランス東インド会社とポンディシェリ』フィリップ・オドレール著、羽田正編(山川出版社)

→紀伊國屋書店で購入 本書評は、早瀬晋三著『歴史空間としての海域を歩く』または『未来と対話する歴史』(ともに法政大学出版局、2008年)に所収されています。 イギリスやオランダの東インド会社のことは知っていても、フランスの東インド会社のことは知ら…

『1421―中国が新大陸を発見した年』 ギャヴィン・メンジーズ (ソニーマガジンズ)

→紀伊國屋書店で購入 本書は出た直後に読んでいたが、先日NHKが放映した「偉大なる旅人・鄭和」でとりあげられていたので読みかえしてみた。 鄭和の七度におよぶ南海遠征はよく知られている。通説では東アフリカに達したとされているが、本書の著者メンジー…

『バッハとの対話─バッハ研究の最前線』小林義武(小学館)

→紀伊國屋書店で購入 前回にひきつづき、もう一冊バッハに関する書籍を紹介したい。生涯における逸話など「バッハの話題」が中心だった礒山の著書とは少し趣を変え、本書は多岐にわたるバッハ研究そのものを中心に紹介したものだ。「バッハに関する話題を考…

『世にも美しい日本語入門』<br>『トマシーナ』<br>『ヒトは本当にネコと話せるのか?』

→紀伊國屋書店で購入 →紀伊國屋書店で購入 →紀伊國屋書店で購入 BGM(Chick Corea/Expressions(1994)) 「強いて言えば 猫はノラに限る」 リビングに「ナショナルジオグラフィック」が無造作に置かれていて、そんな生活に憧れて、夜のとばりに少しの■■■を…

『からだの知恵に聴く―人間尊重の医療を求めて―』アーサー・W・フランク(日本教文社)

→紀伊國屋書店で購入 「病と付き合える社会に向けて」 アーサー・フランクは、39歳の時に心臓発作を、そして40歳の時に睾丸癌を経験します。これら(特に後者)の経験は、医療社会学者としての著者に決定的な影響を与えますが、この本はその始まりを告げる自…

『他人を見下す若者たち』速水敏彦(講談社現代新書)

→紀伊國屋書店で購入 本書評は、早瀬晋三著『歴史空間としての海域を歩く』または『未来と対話する歴史』(ともに法政大学出版局、2008年)に所収されています。 「他人を見下す若者たち」という本書のタイトルより大きな字の「「自分以外はバカ」の時代!」…

『思考のフロンティア 自由』齋藤純一(岩波書店)

→紀伊國屋書店で購入 本書評は、早瀬晋三著『歴史空間としての海域を歩く』または『未来と対話する歴史』(ともに法政大学出版局、2008年)に所収されています。 「自由」ということばは、心地よい。それだから「自由」に反対することは、悪いことをしている…

POP工房(『前川國男 賊軍の将』宮内嘉久、晶文社)

→紀伊國屋書店で購入 ●ここ紀伊國屋ビル(新宿本店)を設計したのはこのひと!!日本の近代建築を代表する建築家・前川國男(1905-1986)は、戦前にいち早く単身パリに渡り、ル・コルビジェに師事し、東京文化会館・国立国会図書館新館など多くの仕事を手が…

POP工房『チョコレ-トコスモス』(恩田陸、毎日新聞社)

→紀伊國屋書店で購入 これは恩田陸版『ガラスの仮面』だっ!正直、芝居の魅力を熱狂を、小説で表現するのは難しい(と思う)。戯曲と、その戯曲を使った舞台ですら、似て非なるものだ(と思う)。それは舞台というものが、あの狭い板の上で、役者の身体を使…

POP工房『まほろ駅前多田便利軒』(三浦しをん、文藝春秋)

→紀伊國屋書店で購入 面白い!! はじめは便利屋コンビのドタバタ痛快劇だと思っていたら、あれ? あれ?? 後半は、心に迫る切ない物語になっていきます。一筋縄ではいかないところが、さすが! 三浦しをん!!ユーモラスな文章で読みやすいのに、読後は何…

POP工房『黄砂 その謎を追う』(岩坂泰信、紀伊國屋書店)

→紀伊國屋書店で購入 春の風物詩、黄砂。近ごろ環境変化に大きく影響しているとかで注目されてきていますが、まだまだ謎だらけです。その謎を追って韓国・中国へ。 【新宿本店科学書売場・三作POPより】 →紀伊國屋書店で購入

POP工房『ハ-トで感じる英文法』(大西泰斗、ポ-ル・クリス・マクヴィ、日本放送出版協会)

→紀伊國屋書店で購入 今、猛烈な勢いで売れてます!!NHKの「3か月トピック英会話」を1冊の本にまとめ、さらに「+α」を加えた本が登場!! キーワードは「丸暗記にサヨナラ」です。さあ今こそハートで英語を感じよう!!【新宿本店語学書売場POPより】

POP工房『夜の朝顔』(豊島ミホ、集英社)

→紀伊國屋書店で購入 子供の頃の思い出って、そんないいことばかりだったかなぁ。 意外とズルかったり、でもそのことに落ちこんだり、結構いろいろ考えて、悩んでいたり。とても傷つきやすくて、とても不自由だったあの時代。 豊島ミホさんにとって“その頃”…

POP工房『ゆりかごで眠れ』(垣根涼介、中央公論新社)

→紀伊國屋書店で購入 「別の生き方はなかったのかと問われたら、そうとしか生きられなかったと答えるだろう。いくつもの曲がり角、右に逸れるか左に落ちるかの細い道。だけど選んできたのはいつも自分だった。他人のせいにする気は全くない。ツケを払わずに…

新宿南店仕入だより~4月(『日米交換船』ほか)

【登場する新刊】---------------------------------------- ●『昭和史 戦後篇 1945-1989』(半藤一利、平凡社) ●『散るぞ悲しき 硫黄島総指揮官・栗林忠道』(梯久美子、新潮社) ●『白洲次郎 占領を背負った男』(北康利、講談社) ●『日米交換船』(鶴見…

『唐十郎-紅テント・ルネサンス! 』唐十郎(河出書房新社)

→紀伊國屋書店で購入 →紀伊國屋書店で購入 →紀伊國屋書店で購入 [劇評家の作業日誌](15) 唐十郎の著作が一挙に3冊刊行された。戯曲、エッセイ、アンソロジーと多種多様だが、改めて唐氏の現在が確かめられて興味深い。 ここ数年、唐氏へ熱い注視が再…

『もし「右」や「左」がなかったら-言語人類学への招待』井上京子(大修館書店)

→紀伊國屋書店で購入 いままで、あるのが当然のことと思い、それがない世界など想像できなかったということがらが、実は当然あるものなどではなくて、それがない世界もちゃんとあるのだということを知らされると、心地よい衝撃を受ける。この本は、そんな衝…

『A Year in the Life of Richmond』Jackson, Joanna(Frances Lincoln Ltd Published )

→紀伊國屋書店で購入 リッチモンドはロンドン南西郊外のテムズ川沿いにある町。かつてリッチモンド・グリーンの位置にはヘンリーⅦ世やエドワードⅢ世などの歴代イギリス王が住んでいた王宮があり、エリザベスI世はここで他界しました。今はただ門構え一基だけ…

『歴史学入門』福井憲彦(岩波書店)

→紀伊國屋書店で購入 本書評は、早瀬晋三著『歴史空間としての海域を歩く』または『未来と対話する歴史』(ともに法政大学出版局、2008年)に所収されています。 本書は、著者福井憲彦が1997年から担当した放送大学「歴史学の現在」のために作成した教科書が…

『酵母ごはん』ウエダ家 著 北原まどか 文(学陽書房)

→紀伊國屋書店で購入 →紀伊國屋書店で購入 高島系子さんの中医学の食講座で、ショウガ酵母をつかった煮物に出会い、 さっそく本も購入。 普段レシピ本は手に取らない私だが、 なに、なんなの、「COBO」って!? というところから入るので仕方ない。 しかし、…

『Dayly Candy A to Z: An Insider’s Guide to the Sweet Life』the Editors of Daily Candy (www.dailycandy.com) (Hyperion Press)

→紀伊國屋書店で購入 I always seem to have trouble, to begin with, deciding what exactly books of this kind are supposed to be. Are they activity books, full of quizzes encouraging profound introspection i.e., whether you are going to hell …

『子どものことを子どもにきく』杉山亮(岩波書店)

→紀伊國屋書店で購入 →紀伊國屋書店で購入 おもちゃ作家の杉山亮さんが、息子さんへのインタビューを続けた記録。 それも8年間! とにかく淡々と、正直にづづられている。子どもって、大人の小さいの、ではないなぁ。 「コドモ」っていう生き物だな とつく…

POP工房『東京バンドワゴン』(小路幸也、集英社)

→紀伊國屋書店で購入 タイトルは明治から続く下町古書店の名前です。読んでいるうちに自分もこの町に住んでいるような、まるでご近所さんの話を聞いているような親しみが沸いてきました。このお店に行ってみたい! 読み終わったあとには、なんだかほわっとあ…

POP工房『神様からひと言』(荻原浩、光文社文庫)

→紀伊國屋書店で購入 「神様」とは何ぞや? このお話の場合、「神様」は「お客様」です。食品会社に勤める主人公は「神様」=「お客様」のクレームを処理する部署に異動になってしまいます。使えない上司やズサンな商品管理によって絶えることのないクレーム…

POP工房『なるほど知図帳 宮城 知れば知るほど新発県』(昭文社)

→紀伊國屋書店で購入 地図とガイドをまとめて一冊に! 暮らし、伝統文化、グルメ情報から本間ちゃんの仙台弁コーナーまで! 内容盛り沢山です(ちなみに「本間ちゃん」は宮城のテレビ・ラジオで活躍する地元の有名人です)。 【仙台店・早】

POP工房『無印良品のふしぎ』(鵜久森徹、ピエ・ブックス)

→紀伊國屋書店で購入 5,000品目の商品を揃え、多くの人たちの暮らしのなかで親しまれている「無印良品」。真面目に開発すればするほど、意外な「ふしぎ」が顔を覗かせるのが、みんなの気づいていないおもしろさです。 真面目な商品紹介に対しての、著者によ…

POP工房『ベルカ、吠えないのか?』(古川日出男、文藝春秋)

→紀伊國屋書店で購入 「全国書店員が選んだ いちばん!売りたい本 本屋大賞」第8位! 当店のイチ押し! 多分私も「本屋大賞」がなければ読みませんでした。 「何コレ新しい!!」という不思議な読後感に、ぜひ包まれてください。 【宇都宮店・長島千尋作店頭…