2012-05-01から1ヶ月間の記事一覧
→紀伊國屋書店で購入 「グローバル化する文化を記述するためのモデルの探究」 現代社会はグローバル化の進展が著しいが、それは我々が日々享受するポピュラー文化についても例外ではない。 一国あるいは一つの社会内だけでというよりも、幾重にも複雑化した…
→紀伊國屋書店で購入 「あの麻木久仁子氏もtwitter上で所望した貴重な網羅的資料集」 はじめに、で書かれているように、本書は「軍歌の標本」となるべく、「世界各国の軍歌をひとつの素材として取り上げることで、各位の興味や趣向にあわせて随意に翫賞して…
→紀伊國屋書店で購入 「孤立をめぐる学際的研究の可能性」 本書の魅力は、今日の日本社会における孤立という問題点をめぐって、その学際的研究の可能性を感じさせる点にある。言うなれば、孤立を社会的事実としてとらえたうえで、多角的にその背景を分析した…
→紀伊國屋書店で購入 「ホンモノよりもリアルな「のりもの絵本」の世界へ」 かつて、「のりもの絵本」というジャンルがあった。鉄道を筆頭に、自動車や飛行機といったさまざまな乗り物が、おおむね小学校入学前か低学年の子ども向けにわかりやすく、描かれた…
→紀伊國屋書店で購入 安部公房の母、ヨリミが新婚早々安部公房を妊娠中に書いた小説である。 ヨリミは1899年、旭川のはずれの開拓地東高鷹村に生まれ、東京女子師範学校(現在のお茶の水女子大)に進むが、社会主義団体のビラを校内にはりだしたために放校に…
→紀伊國屋書店で購入 安部公房と勅使河原宏監督の「協働」を跡づけた本であり、きわめて刺激的である。 安部公房の世界的な名声はカンヌ映画祭で特別賞を受賞した映画版『砂の女』の成功によるところが大きいが、この作品は勅使河原監督との「協働」の第二作…
→紀伊國屋書店で購入 幼い娘のことばと、それを獲得してゆくさまをみつめる母親/翻訳家の発見と考察とが織りなすエッセイ。 いわゆる幼児語や、誰しもが必ず通過する「いけないことば」を連発せずにいられないあの一時期、架空のお友だち(著者の娘さんのそ…
→紀伊國屋書店で購入 「吃音のことをまったく知らない人が吃音の悩みに安心して接近できる素材」 この本の著者である重松清さんは、著名な小説家にして著作多数。その作品を読んだことがある方も多いのではないかと思います。私は、吃音(きつおん=どもるこ…
→紀伊國屋書店で購入 比較演劇学者による安部公房論である。演劇は安部公房の仕事の大きな柱で、ついには自分で劇団を主宰したほどだったが、演劇人としての安部公房を論じた単著はナンシー・シールズの『安部公房の劇場』くらいしかなかった。シールズの本…
→紀伊國屋書店で購入 著者が本書を執筆した思いは、「あとがき」のつぎの文章によくあらわれている。「日本とアジアの人々の歴史的「和解」を進めるには、どうすればいいのかという差し迫った問題意識が横たわる。二十一世紀のグローバリゼーションの波を活…
→紀伊國屋書店で購入 著者の苅部直氏は『丸山眞男―リベラリストの肖像』などで知られる新進気鋭の政治学者だそうだが、読んでいるうちに、こいつSF者だなと直覚した。SF者の臭いがぷんぷんにおうのである。はたして『第四間氷期』を論じた章の扉には直接…
→紀伊國屋書店で購入 「キャロル・キングの心温まる自伝」 ポップ歌手キャロル・キングが生まれたのは1942年2月。2012年の今年彼女は70歳だ。 60年代、70年代に青春を過ごした人のなかには、キャロル・キングのアルバム「つづれおり」から聞…
→紀伊國屋書店で購入 国語の授業で「それ」は何を意味するかとか、この文節はどこにかかるかといった分析的な読み方を習ったことがあるだろう。曖昧さが身上の日本文学を相手に分析的な読み方が意味があるのか疑問に思っていたが、相手が安部公房だと意外に…
→紀伊國屋書店で購入 「生涯・時代・音楽を学ぶ14講」 私が教鞭を執っている国立音楽大学には、いくつか自慢できるものがある。そのひとつは図書館だ。http://www.lib.kunitachi.ac.jp/にアクセスした後にページ下部のWebOPACというバナーを押すと、誰でも簡…
→紀伊國屋書店で購入 「文学に見る不条理克服の知恵」 東日本大震災のような圧倒的な自然の力を前にして、我々は何を思うのだろうか。犠牲者や被災者の事を考えるのは当たり前としても、自然に対して怒りを向けても虚しい。それは自然の力を甘く見たり、自然…
→紀伊國屋書店で購入 まず、本書冒頭で、「東南アジア諸国に地方分権改革の波が訪れてから10~20年以上が経過し、東南アジアの地方分権化は常態化したといってよい」と述べ、この事実を踏まえて、本書ではこの10年間余に大きく変わった東南アジアの主要民主…
→紀伊國屋書店で購入 「トニ・モリソンの最初の小説」 アメリカの都市に住む黒人と、田舎で暮らす黒人の違いに気が付いたのは、ミシシッピ州オックスフォードの町に行った時だった。ニューヨークやロサンゼルスで会う黒人のなかには、いわゆる「ギャングスタ…
→紀伊國屋書店で購入 みまわせば、旅好きなのはきまって女子。ひとり旅、友だちとの旅、三十過ぎたころからは母親とのふたり旅というのもよく話にきくようになった。留学経験があるのも女子が多い。特に、一度学校を卒業して社会へ出てからふたたび海外で学…
→紀伊國屋書店で購入 「散文って窮屈じゃないですか?」 10年前の「グリーンカルテ」を読んで以来、何となく気になってきた書き手である。「グリーンカルテ」は数年前ついに単行本となったが、必ずしも多作な人ではないから、新しい作品が出て「あ、出た」…
→紀伊國屋書店で購入 著者の本書への思いは、「エピローグ-この本を読んだあとに」の冒頭のつぎの文章によくあらわれている。「本書を読み終えたいま、皆さんはどのような印象を持ったでしょうか。バモオ博士とアウンサン将軍の人生をたどり、関連してアウ…
→紀伊國屋書店で購入 ―歴史は繰り返される 「神経衰弱」の木霊― 出先の本屋で探し物をしていたところ、ふと振り向いた棚に本書が横たわっていた。背負ったタイトルが職業的関心を惹いたものだから、パラパラと初対面の儀式を交わした後、家に連れて帰ること…
→紀伊國屋書店で購入 「15歳からの「伝記で知るアジアの近現代史」シリーズ」第1巻として取り上げられたのが、ベトナムのファン・ボイ・チャウとクオン・デである。表紙には、「独立の闘士たちが見た日露戦争後の日本とは? 壮絶な人生ストーリー」とあり、…
→紀伊國屋書店で購入 「<劇評家の作業日誌>(60)」 唐十郎について書かれた評論は多い。近年では、扇田昭彦著『唐十郎の劇世界』(右文書院、2008)という決定版がある。唐作品と40年にわたって伴走し、時代を共有した著者による劇評集だ。 だが…
「人間の精神の暗い部分に光をあてたサイコスリラー」 誰もがみかけとは違う人間性を内に秘めている。イギリスのサイコスリラー作家トニー・ストロングの最新作『The Decoy』。この作品を貫くテーマはこんな言葉であらわせるだろう。別の言葉を使うとすれば…
→紀伊國屋書店で購入 映画『テルマエ・ロマエ』が絶賛公開中です。古代ローマの技師が、現代日本の風呂にヒントを得て、古代ローマの浴場建設にセンセーショナルを巻き起こしていくという、奇想天外のストーリー。本当に面白いですよね。同名の原作漫画はマ…
→紀伊國屋書店で購入 艶笑詩人として知られるドイツの女性詩人の伝記である。 ユーリエ・シュラーダー。十九世紀末から二十世紀はじめのドイツ、帝政ドイツ時代からナチス政権下までを生きた彼女は、生涯に二千篇もの詩を書いた。発表されたものはそのうちの…
→紀伊國屋書店で購入 「生は短いが、本を読む時間は欲しい(笑)」 昔よりずっと豊かで長生きのはずなのに、なんだか物足りない。そう感じている人が多いのでないだろうか。ますます急がされている一方で、生きる意味や目的がよくわからなくなっている。昨年…
→紀伊國屋書店で購入 本書は、1978年、80年に続く2005年の全国規模の戦友会調査を踏まえて書かれている。1978年、80年の調査が戦友会の最盛期であったのにたいして、2005年の調査は「戦友会の終焉を意識したものであった」。 本書の目的は、表紙につぎのよう…
→紀伊國屋書店で購入 「Butのいらない小説」 飲み会で学生に、「最近、おもしろい小説読んだ?」と訊いてみることがある。日本の小説。今、書かれている小説。そんな含みを持たせると、大学院生などかえって答にくいようだが、ときどき「あ、そういえば、金…