2013-08-01から1ヶ月間の記事一覧
→紀伊國屋ウェブストアで購入 「すべてが「プレイ」化する社会」 本書は、現在ではネット上のニュースサイト「NEWSポストセブン」の編集長として知られる中川淳一郎氏が、仕事に対する心構えを記したものである。 だが、堅苦しくとらえる必要はない。本書は…
→紀伊國屋ウェブストアで購入 「アイデンティティをめぐる問いの軌跡」 本書は、若者のアイデンティティをめぐって、特に現代の日本社会におけるその変容について描き出したものである。 そこで問われているのは、まずもって次のような2つの問いである。すな…
→紀伊國屋ウェブストアで購入 「作家夫婦の愛と苦悩」 高校一年生の時に、人生を変える本に出会った。ボーヴォワールの『人は全て死す』だ。不老不死を得た主人公が絶望的な不幸に陥っていく作品だが、衝撃的だった。限られた命しか持たない我々は、少しでも…
→紀伊國屋ウェブストアで購入 「「郊外化」空間における日常生活を記述する方法」 この夏、とある地方都市の若者調査に出かけて、いろいろと驚きがあった。まず、驚いたのは、中心市街地の廃れた様子である。いわゆる「シャッター街」化は日本の至る所で進ん…
→紀伊國屋ウェブストアで購入 「「あなた」とは何者か?」 小説の最初の一行は重要である。即座に二行目に目が移るような自然な書き出しにするか。それとも考え込ませるようなフックをつけるか。『爪と目』は後者の典型だろう。このようにはじまる。 「はじ…
→紀伊國屋ウェブストアで購入 「百合子さんマジックの秘密」 ちょっとご縁があって武田百合子のエッセイをいろいろ読み返しているのだが、この人の書くものは何度めかに読んでも読んだだけではすまなくて、人にいいつけたくなるようなところがある。この一週…
→紀伊國屋ウェブストアで購入 「哲学と言語学の幸福な対話」 今年は現代言語学の祖フェルディナン・ド・ソシュールの没後百年。大学で言語学を勉強したわけではないけど、『一般言語学講義』を読むゼミに参加したのは楽しい体験だった。担当の先生がよく言っ…
→紀伊國屋ウェブストアで購入 2012年1月から4回にわたって放映された同題のNHKスペシャルの書籍化である。 10年前だったらアート紙でカラー図版をふんだんに入れ、全4巻で出たところだろうが、厳しい出版事情にかんがみ一冊にまとめたということか。 本書は4…
→紀伊國屋ウェブストアで購入 本書は、序章と7章からなり、書き下ろしの序章と補足した第七章を除いて、大幅な書き換えをおこなっていない論文集である。著者、小林英夫は、本書の目的を、つぎのように説明している。「一八九五年の日清戦争後に台湾を領有し…
→紀伊國屋ウェブストアで購入 山極寿一の『暴力はどこからきたか』では狩猟採集時代までのヒトはわかちあいの心をもったやさしい平和な生き物だったが、農業の開始とともに所有の観念が生まれて国家が誕生し、戦争をするようになった。集団内部でも階級が分…
→紀伊國屋ウェブストアで購入 「あのレマルクと二つの大戦」 書店の棚からレマルクの小説の多くが消えて久しい。このような時代にレマルクの評伝を手に取ろうとするのはどのような人たちなのだろうか。唯一、版を重ねている、彼の代表作『西部戦線異状なし』…
→紀伊國屋ウェブストアで購入 「好奇心は人間を破滅させる」 新訳なら古典だってよかろうと――『ビリー・バッド』を扱った前回に味をしめて――、先ごろ岩波文庫から出たエウリピデス(ギリシア語人名の長音は以下省略)の傑作悲劇を選ぶことにした。新訳と言っ…
→紀伊國屋ウェブストアで購入 「彼の後について、富士に登ろう」 石川直樹といえば、いまや押しも押されもせぬ日本の代表的冒険家のひとり。そして彼には、他の冒険家の追随を許さない点が、少なくとも三つある。まず彼はすぐれた写真家でもある。ついで、文…
→紀伊國屋ウェブストアで購入 「現代音楽から古典音楽の大家へ―クレンペラー没後40年」 今年はドイツの名指揮者オットー・クレンペラー(1885-1973)の没後40年の年でもある。クレンペラーといえば、私がクラシック音楽を聴き始めた頃は、ベートーヴェン、ブラ…
→紀伊國屋ウェブストアで購入 「絶望を集めてまわる、そんな小学生の冒険は?」 小説家・古川日出男が、マンガ家・後藤友香と組んで、初の絵本を発表した。生まれたのは、東日本大震災以後の日本語の表現世界に独自の位置を占めるにちがいない、感動的な傑作…
→紀伊國屋ウェブストアで購入 本書を読むキーワードは、「文明国標準」と「社会外交史」である。著者、酒井一臣は、「序 外交史をまなぶ【「今」を理解するために】」で、それぞれの見出しの下に、つぎのように説明している。 「文明国標準」:「19世紀には…
→紀伊國屋ウェブストアで購入 「アメリカのカルト集団についての本」 最近、たて続けにアメリカの「カルト」に関わる本を読んだ。アメリカのカルト集団というと、1997年3月26日、宇宙人が自分たちを迎えにきたと告げ集団自殺をしたヘブンズ・ゲイトや…
→紀伊國屋ウェブストアで購入 「ジョーン・ロビンソン没後30年」 今年は、イギリスの女性経済学者ジョーン・ロビンソン(1903-83)没後30年の年に当たっている。ケインズの愛弟子のひとりで、生前は「ノーベル経済学賞」(注1)の受賞候補に何度も挙げられなが…
→紀伊國屋ウェブストアで購入 「和歌と演技」 〝和歌語り〟は一つのジャンルである。呼吸がちょうどいいのだろう、ふと和歌をのぞいて賞味しては、「ふむ」と一呼吸置いてからおもむろに地の文に戻るという流れが、ある種の読書にぴたりとはまる。ぐんぐん、…
→紀伊國屋書店で購入 →紀伊國屋書店で購入 ショパンが作曲した24曲のエチュードは、ピアノを学ぶ者はもちろん、すべてのクラシック系ピアニストが最高の芸術性、技術および明晰な頭脳をもって挑むべき試金石である。若者にとっての登龍門となる国際コンクー…
→紀伊國屋ウェブストアで購入 ずいぶん挑戦的で、挑発的な本である。このような本が編集できるようになったのも、日本の西洋史研究がヨーロッパから学ぶ段階から脱し、独自の西洋史観をもって歴史学を語ることができるようになったからだろう。それは、歴史…
→紀伊國屋ウェブストアで購入 「総力戦の狭間で「働く捕虜」」 本書(大津留厚著『捕虜が働くとき―第一次世界大戦・総力戦の狭間で』人文書院、2013年)は、従来ほとんど取り上げられなかった第一次世界大戦中の「働く捕虜」たちの実態を詳細に紹介した好著…
→紀伊國屋ウェブストアで購入 人間に愛を捧ぐロボット。こういう設定に私すごく弱いんです。 今でも忘れられないのは『火の鳥』(手塚治虫著)の復活編です。子供たちを愛し愛されたロボット、ロビタ。その愛ゆえに起きてしまった事件と、彼にくだされた理不…
→紀伊國屋ウェブストアで購入 「哲学小説のプレゼント」 昨暮、名作の新訳が出たので本欄でも取り上げたいと思っていたら、こんなに遅くなってしまった。まさか、夏休みの課題感想文になってしまうとは。いたずらに馬齢を重ねる身を嘆きつつも、子どもの頃の…
→紀伊國屋ウェブストアで購入 「ウルトラセブンの「音楽」を探して」 本書(青山通『ウルトラセブンが「音楽」を教えてくれた』アルテスパブリッシング、2013年)の内容は、装幀から受ける印象とはずいぶん違っている。いや、ウルトラセブンと関係はあるのだ…
→紀伊國屋ウェブストアで購入 「真の愛国心とは?」 アーサー・ビナードを有名にしたエッセイ集『日本語ぽこりぽこり』は確かに面白い。大勢に順応しない健全な精神は小気味良いし、権威というものの真の姿が現れている体験談も示唆に富んでいる。例えば、彼…
→紀伊國屋ウェブストアで購入 私は最近「編集者伝いに本を買う」行為に凝っています。「自分の好みに合う」と思った本の編集者さんを見つけ、その編集者さんが手がけた本を買っていくのです。面白い本にヒットする確率が高くなります。興味のない分野の本に…
→紀伊國屋ウェブストアで購入 「「ゆるく生きたい」とは何か?」 本書(榎木博明・立花薫『「ゆるく生きたい」若者たち―彼らはなぜ本気になれないのか?』廣済堂新書、2013年)は、心理学の専門家二人が「ゆるく生きたい」という最近の若者たちについて考察…