2013-02-01から1ヶ月間の記事一覧
→紀伊國屋書店で購入 「二つの文化の狭間で揺れる子どもたち」 サードカルチャーキッズ(TCK・Third Culture Kids)という言葉をご存知だろうか。「第三文化の子ども」とは「発達段階のかなりの年数を両親の属する文化圏の外で過ごした子どものこと」である…
→紀伊國屋書店で購入 「「ブラックスワン」を超える知恵」 ナシーム・ニコレス・タレブ。不確実な世界に生きる知恵を語らせたら今、最高の書き手だろう。分野を超えて話題をさらったベストセラー”The Black Swan”(原書2007年、邦訳『ブラックスワン』2009年…
→紀伊國屋書店で購入 「卒業生の将来を考えながら、このシーズンに読み返したくなる一冊」 上記のようなタイトルを付けたが、本書の内容は、決して甘酸っぱい学園モノなどではない。むしろイギリスの事例を基にした、非常にまじめな学術書だ。 評者は、この…
→紀伊國屋書店で購入 「現代社会の「メディア・エスノグラフィ」として」 本書は、マンガ『闇金ウシジマくん』(真鍋昌平)を題材に、「社会学の成果を紹介しつつ、社会学の多面性や魅力」(P115)を伝えようとしたものであり、現代日本社会の様々な問題点…
→紀伊國屋書店で購入 「「ゲームの現実化/現実のゲーム化」」 本書は、昨今のウェブ業界やマーケティング業界を席巻しているゲーミフィケーションという言葉について書かれたものである。冒頭で筆者も述べているように、この多義的な言葉の定義を明確化する…
→紀伊國屋書店で購入 「男性問題としての社会問題を意図的に考え直すこと」 昨年(2012年)の11月に、『男性不況―「男の職場」崩壊が日本を変える』 (永濱利廣著、東洋経済新報社)という著作を紹介した際、成績優秀者には女子学生が多いのだと述べた。そのこ…
→紀伊國屋書店で購入 英国人の書いたボードリヤールの入門書である。ラウトリッジ社の Critical Thinkers というシリーズの一冊で、日本では青土社から「現代思想ガイドブック」として発売されている。 入門書のシリーズだけあって各章の最後には半ページほ…
→紀伊國屋書店で購入 →紀伊國屋書店で購入 「ジャンクフードの意地」 春の「英語文学の古典」シリーズ第二弾。 今回は3月に来日予定のJ・M・クッツェーの『恥辱』(Disgrace)をとりあげたい。クッツェーはこの作品で二度目のブッカー賞を受賞しているが、同じ…
→紀伊國屋書店で購入 ボードリヤールは『湾岸戦争は起こらなかった』に懲りて以来御無沙汰していたが、最近読み直す必要が出てきて、全体像を確認するために本書を開いてみた。 著者の塚原史氏はフランス留学時代に今村仁司氏から『消費社会の神話と構造』の…
→紀伊國屋書店で購入 中公版『哲学の歴史』の第11巻である。このシリーズは通史だが各巻とも単独の本として読むことができるし、ゆるい論集なので興味のある章だけ読むのでもかまわないだろう。 本シリーズは20世紀に3冊あてているが、本巻はその2冊目にあた…
→紀伊國屋書店で購入 「愛弟子の独り語りを夜中に聞く」 本格的にアメリカ文学を学ぶ意欲に燃えた大学3年生の尾崎俊介さんは、ゼミの教授のすすめで宮口精二似のハンサムでスリムだがとっつきにくいS先生こと須山静夫先生(1925-2011)の授業を受けることに…
→紀伊國屋書店で購入 「インドの経済成長の外にいる人々」 インド、ムンバイ空港に続く道路。その道路に沿ってコンクリートの壁が伸びている。壁には「Beautiful」という文字と「Forever」という文字が交互に続けて描かれている。この道路はインドの経済成長…
→紀伊國屋書店で購入 『海域から見た歴史-インド洋と地中海を結ぶ交流史』(名古屋大学出版会、2006年)の著者、家島彦一は、つぎのように明確に自らの立場を述べている。「海(海域)の歴史を見る見方には、陸(陸域)から海を見る、陸と海との相互の関係…
→紀伊國屋書店で購入 「徴兵制のルネサンス」 ちくま学芸文庫は、玉石混淆の気味はあるものの、相変わらず健闘している。たとえば、二年前の2011年3月10日に出た、マキァヴェッリ『ディスコルシ――「ローマ史」論』。3・11大震災のあおりでそれほど注目されな…
→紀伊國屋書店で購入 「お遍路 乱れ打ち」 石を投げれば腰痛病みに当たる。それほどに世に腰痛持ちは多い。他人事ではない。わたしの腰痛歴も長く、鍼灸・整体の世話になること頻々で、不思議なことには、五十肩に苦しんでいる間だけは腰痛から解放されてい…
→紀伊國屋書店で購入 「目の間違いが、役に立つ」 筆者の知り合いに探偵小説作家がいるのだが、この方は会議の最中に物思いにふけるような遠い目になるときは、たいてい探偵小説のトリックを考えている。あるいは深夜の新宿三丁目のまったりしたバーで、悲し…
→紀伊國屋書店で購入 興味深い内容には違いないが、どういう人にお薦めしたものか、迷うところだ。とりあえずはピアノを弾ける人、それもある程度のレベルに到達した人にとって有意義な参考書となるだろう。しかし音楽学生やピアニスト向きに書かれてはいる…
→紀伊國屋書店で購入 本書は、京都大学人文科学研究所の共同研究「虚構と擬制-総合的フィクション研究の試み」の成果をもとにした論文集である。本書の狙いは、「なによりまず読者にフィクション論の諸相にふれてもらい、「フィクション論的思考」とでもい…
→紀伊國屋書店で購入 「作家の「フシギ」満載の楽しい一時」 本好きの者にとって、楽しい一冊だ。池内紀はドイツ文学者だが、エッセイストとしての方が名が通っている。エスプリの利いた、軽妙洒脱な文を書くが、この『文学フシギ帖』には彼の文学的趣味が存…
→紀伊國屋書店で購入 「思い返すことを怖れない」 撮影で何度も訪ねているインドやトルコの小さな町や村の風景に、写真家の鬼海弘雄さんはふる里の暮らしを重ね見る。山形県のほぼ真ん中、昭和2、30年代の醍醐村(現・寒河江市)には、暮らすために必要なも…
→紀伊國屋書店で購入 「シュールで幻想的な作品」 現代のアメリカ文学を代表する作家のひとりドン・デリーロ。彼の著作には『White Noise』や『Underworld』など有名な作品があるが、今回読んだのは『The Body Artist』。 『The Body Artist』はシュール・リ…
→紀伊國屋書店で購入 著者、ウマル・カヤムの執筆の大きな動機のひとつは、「欧米諸国のインドネシア研究者によって語り継がれてきた「プリヤイ」解釈への失望感」であった。解説者、倉沢愛子は「プリヤイを一言で表現する的確な日本語はない」とし、つぎの…
→紀伊國屋書店で購入 「イソノミアの再発見」 本書では、ハンナ・アーレントの革命論、なかんずく「イソノミア」論が取りあげられている。アーレントに入れあげてきた私のような者にとって、その哲学者の中心問題に、著名な批評家が注目してくれるのは、喜ば…
→紀伊國屋書店で購入 皆さんは寝る前にどんな本を読みますか。私は結構悩みます。東野圭吾のミステリーでは面白すぎて目がさえてしまうし、かといって怪談実話に手を伸ばそうものなら天井の染みが気になってつい電気をつけてしまいそう。読むと全身の力が抜…
→紀伊國屋書店で購入 「放火調査官が活躍するサスペンス」 アメリカの人気作家ドン・ウィンズロウのサスペンス『California Fire and Life』は、カリフォルニア州オレンジ郡を舞台とした作品だ。 ウィンズロウは、53年にニューヨークで生まれた。ネブラスカ…