書評空間::紀伊國屋書店 KINOKUNIYA::BOOKLOG

プロの読み手による書評ブログ

2004-11-01から1ヶ月間の記事一覧

『オブジェクト指向への招待—思考表現のための新しい方法 』春木良且 (近代科学社)

→紀伊國屋書店で購入 オブジェクト指向とは1つの思想である。オブジェクト指向プログラミングを学んでいる人で、この点を勘違いされている方は多い。例えば、C++やJavaは確かにオブジェクト指向プログラミング言語であり、オブジェクト指向の発想をプログラ…

『Solarisシステム管理 』城谷洋司(アスキー)

→紀伊國屋書店で購入商用UNIXとして巨大な成功を収めるSunMicrosystemsのSolaris。本書はSolarisのすべてが分かるリファレンスの決定版である。製本技術者を挑発するようなページ数とあまりの情報量に裏技大全集的な色合いすらある。Solarisは基幹システム向…

『MCSE教科書 TCP/IP—試験番号 70‐059 』ティッテル,エド/ハドソン,カート/スチュワート/J,マイケル(翔泳社)

→紀伊國屋書店で購入 MCPというのはMicrosoft社が行っている資格試験で、Windowsなどの技術力を認定するものである(MCSEはその上位資格)。こうしたベンダが行っている試験は、教材や受験料が高く、また以前はWindowsの信頼性も低かったことから、揶揄的に…

『シャーロック・ホームズの帰還 』ドイル,アーサー・コナン(河出書房新社)

→紀伊國屋書店で購入 暗号理論は数学と密接に結びついている。したがって、暗号の本質に触れるためには高等数学を避けて通るわけにはいかないのだが、初学者には本書のようなアプローチもありだ。本書収録の「踊る人形」において謎を解明していく方法は、換…

『すべてがFになる』森博嗣(講談社)

→紀伊國屋書店で購入 ネットワークやセキュリティの学習を始めようと思ったときに、ネックになりやすいのがテクニカル・タームの多さである。出てくる都度、調べていけばよいのだがとても面倒くさい(これを解決するためにハイパーテキストが生まれたという…

『アラン・ケイ』ケイ,アラン・C.(アスキー)

→紀伊國屋書店で購入 エンゲルバートを紹介したので、続けてもう1人だけ偉人伝シリーズを。アラン・ケイはパーソナル・コンピュータという概念を初めて提唱した先駆的研究者である。1960年代のコンピュータというのは、重戦車のような代物だった。大きくて重…

『ブートストラップ—人間の知的進化を目指して』バーディーニ,ティエリー(コンピュータ・エージ社)

→紀伊國屋書店で購入 ダグラス・エンゲルバートをご存じだろうか。本人を知らない人でも、「マウスを発明した人」というと、「へーっ!」となる。現在のGUI環境に欠かせないデバイスを生んだ男である。マウスのプロトタイプ開発は1964年、今でこそ「マウスく…

『TCP/IPバイブル 』ウォッシュバーン,ケビン(ソフトバンク)

→紀伊國屋書店で購入どんな世界にも「そこに行けばなんとかなる」「あの人に聞けば必ず分かる」というキーポイントがある。宗教のことで分からないことがあれば、取りあえず中沢新一の本を読もうかとか、アニメのことで知りたいことがあればまずは秋葉原に行…

『マスタリングTCP/IP入門編 』竹下隆史/村山公保/荒井透/苅田幸雄(オーム社)

→紀伊國屋書店で購入 先にはっきり断っておくと、本書は「入門編」と銘打ってあるが、決して取っつきやすい書物ではない。インターネットの中核技術であるIP(インターネット・プロトコル:インターネット上の通信規約)について、淡々と修行僧的な静謐さで…