2014-04-01から1ヶ月間の記事一覧
→紀伊國屋ウェブストアで購入 京都から越してきたばかりのころ、東京の街には緑がすくないと嘆くと、大阪市出身の友人はおどろいて、東京は緑だらけじゃないかという。大阪にくらべれば、東京は緑地面積の多い都市なのだ。たしかに、自宅近くの大学の構内は…
→紀伊國屋ウェブストアで購入 「花の色は移りにけりないたづらにわが身世にふるながめせしまに」。この歌をはじめて読んだとき、著者は桜ではなく、赤い薔薇を思い浮かべたのだそうだ。 それは、著者がいつか読んだ詩の記憶のためだった。雨にぬれた薔薇が登…
→紀伊國屋ウェブストアで購入 「「何を伝えているか」だけでなく、「誰がどのように伝えているか」を問うこと」 数年前まで地方の私大に勤務していたころ、報道関係の方々とお話しする機会がよくあった。大学は県庁所在地にあったので、各新聞社の支局も中心…
→紀伊國屋ウェブストアで購入 これも2012年に出た未来予測本である。個人が書いているだけに今回とりあげた三冊の中では読物として一番面白かったが(翻訳も一番こなれている)、バイアスも大きそうである。 著者のヨルゲン・ランダースは物理学者だったが、…
→紀伊國屋ウェブストアで購入 「20世紀のメインストリートを駈けぬけて」 自分の所属がこの四月から変わり、仙台に住み始めた。この書評空間も一区切りを迎えるとのこと、その最終回として駆け込みで投稿しようと思い立った。となると、やはりこの一冊。アー…
→紀伊國屋ウェブストアで購入 「新しいメディア理論に向けての待望の一冊」 まさに待望の一冊である。 本書は、早稲田大学の伊藤守、東京芸術大学の毛利嘉孝、両氏を編者とする、新しいメディア理論の探求を企図した論文集である。 その名が示すように、メデ…
→紀伊國屋ウェブストアで購入 英国の『エコノミスト』誌が総力をあげておこなった未来予測で、原著は2012年に出ている。 冒頭で「世界人口にまつわるトレンドは、残りの章のほとんどに影響を与える」と宣言しているように、人口動態論による予測が軸となって…
2005年4月に《書評空間》が開設されて以来、細々とながらも継続して投稿して参りました。 当初は投稿の頻度も文の長さも手探り状態でしたが、そのうち「無理してもしょうがない」と思いなおし、毎月1冊のペースを維持することを目標にしました。月に1冊は決…
→紀伊國屋ウェブストアで購入 2014年は、第一次世界大戦開戦100年目にあたる。ヨーロッパを中心に、それにちなんだ企画が、つぎつぎにおこなわれはじめている。日本でも、いくつもの出版が出はじめている。本シリーズ全4巻は、7年間に100を超える研究会の成…
→紀伊國屋ウェブストアで購入 日本とアメリカのTPP(環太平洋経済連携協定)交渉が、長引いている。かつて、交渉力のない国は不平等条約を押しつけられたり、拒否して軍事力で受け入れさせられたりした。しかし、それが将来の紛争の原因のひとつになったこと…
→紀伊國屋ウェブストアで購入 「モバイル社会はどのように成熟していくのか」 日本社会でケータイの本格的な普及が進んだのは1990年代中盤以降のことである。すでにそれから20年近くがたとうとしており、今では大学生たちも、ほぼ100%がケータイを持ち、その…
→紀伊國屋ウェブストアで購入 「現実への深い理解が生み出す幻想譚」 日本中にうんざりするほど均一な風景が広がっている。全国展開のスーパーやチェーン店やコンビニ、その店頭に立っている原色の幟、同一規格の建材で造られた注文住宅やビル。目立つことを…
→紀伊國屋ウェブストアで購入 「再帰化する友人関係」 本書のタイトルに含まれている「トモカツ」という言葉。これは決して人の名前などではない。漢字をあてはまると「友活」、すなわち「友達活動」の略である。 基となっているのが「婚活」という言葉であ…
→紀伊國屋ウェブストアで購入 アメリカに国家情報会議(NIC: National Intelligence Council)という機関がある。もともとはCIAの一部門だったが、1979年に独立して現在の形になった。 NICは大統領の任期にあわせて4年ごとに15~20年先の世界情勢を予測した …
児玉 聡 [京都大学大学院文学研究科准教授] 世の中には本が好きという人がいる。中には本の装丁や字体だけが好きで本の中身はどうでもいいという人もいるかもしれないが、おそらく本を好きだという人の多くは本を読むことが好きなのだろう。だが、本ならば…
2014 年、第18 回10 社共同復刊に、多数のリクエストをいただきありがとうございました。2月28 日までの期間中に、紀伊國屋書店の特設サイト、復刊ドットコムの特設サイトおよびFAX で、受けつけたリクエストは総数2,174 票、最多書籍には110 票のリクエスト…
『聖書の日本語 翻訳の歴史』鈴木範久(岩波書店) 初版2006・最終版2008年◆四六判◆288頁◆税込3,672円(本体3,400円) ISBN4-00-023664-4 現代日本語のもう一つの源──人と出来事でたどる聖書翻訳通史。文語訳に始まり新共同訳に至る、近代日本の埋もれた系譜…
『テレビは戦争をどう描いてきたか 映像と記憶のアーカイブス』桜井均(岩波書店) 初版2005・最終版2005年◆四六判◆486頁◆税込4,536円(本体4,200円) ISBN4-00-024015-3 テレビはいかにして過去の声をモノローグからポリフォニーへと変えてきたか。現役プロ…
『近代天皇制と古都』高木博志(岩波書店) 初版2006・最終版2006年◆四六判◆342頁◆税込3,564円(本体3,300円) ISBN4-00-022550-2 近代天皇制のもとではじめて奈良と京都が「古都」として表象されたのはなぜか。文化的表象形成の深部に働く政治を鋭く抉り出…
『精神分析の方法 Ⅰ』W.R.ビオン/福本修訳(法政大学出版局) 初版1999・最終版2008年◆四六判◆326頁◆税込4,104円(本体3,800円) ISBN 978-4-588-02199-2 フロイト以後の精神分析の理論的総括を試みたビオンの代表的著作を集成。本巻は、「経験から学ぶこと…
『幻想芸術』マルセル・ブリヨン/坂崎乙郎訳(紀伊國屋書店) 初版1968・最終版1992年◆A5判◆498頁◆税込9,504円(本体8,800円) ISBN 978-4-314-00043-7 暗黒の中世から、破滅に慄く現代までの芸術表現に表れた不安、異常、怪奇のイメージ。諸作品から「幻想…
『国際法上の自衛権 新装版』田岡良一(勁草書房) 初版1981・最終版1985年◆A5判◆400頁◆税込5,400円(本体5,000円) ISBN 978-4-326-40293-9 国際社会を法的に組織するための国際連合や国際司法裁判所は、秩序をもたらす実効を発揮していない。国際法上、自…
『何のための数学か 数学本来の姿を求めて』モーリス・クライン/雨宮一郎訳(紀伊國屋書店) 初版1987・最終版1989年◆四六判◆232頁◆税込3,024円(本体2,800円) ISBN 978-4-314-00481-7 数学は単なる記号操作の技術ではない。その目標は自然から知識を引き…
『社会性の哲学』今村仁司(岩波書店) 初版2007・最終版2007年◆A5判◆584頁◆税込12,420円(本体11,500円) ISBN 978-4-00-730109-4 人間存在を贈与論的構造に位置づけ、政治、経済、法の社会性の諸相を考察。労働と暴力をめぐる社会哲学を総合的に展開した遺…
岩波現代全書 GHQの検閲・諜報・宣伝工作 山元武利 四六判◆254頁◆税込2484円(本体2300円)◆ISBN978-4-00-029107-1 占領期メディアを追ってきた著者が、占領下のGHQ による検閲のメカニズムと諜報・宣伝工作の実態に迫る。 *『ブラック・プロガバンダ 謀略…
■本好きにとって、通常の重版の体裁で復刊される意味は大きいです。何故ならば、元の箱も無く、カバーも往々にして好い加減なオンデマンドを買う位ならば、同じ値段で多少汚くとも寧ろ古本を探すからです。それ故、書物復権を大いに応援するものであります(…
→紀伊國屋ウェブストアで購入 『神話論理』の第四巻だが、この巻は邦訳で800頁を越えるために二冊にわけて刊行された。本書は第一分冊で、序から第四部までをおさめる。 800頁という分量にたじろいだが、読みはじめるとすいすい読めた。神話が一巡して元にも…
→紀伊國屋ウェブストアで購入 「リチャード・ドーキンスの「Selfish Gene」までの伝記」 イギリスの進化生物学者リチャード・ドーキンスを知ったのは、僕がボストンにある大学に通っていた時だった。 必修科目のひとつとして取った生物学のクラスで与えられ…
→紀伊國屋ウェブストアで購入 →紀伊國屋ウェブストアで購入 「これですべてではない」 かねがねこの欄で取り上げたいと思っていたのが柴田元幸氏の翻訳である。新しいものが出ると、手にとっては「よし、これを」を思ったりしたのだが、何しろウソみたいに仕…
→紀伊國屋ウェブストアで購入 「マンガと文学のキメラ」 わたしは滅多にマンガを読まない。マンガの書評を書くのも初めてだ。犬も歩けばという具合に、出会った活字本をあれこれと書評空間で紹介してきて、7年目の浮気となる。 アメリカで大ヒットし、数々の…