2012-10-01から1ヶ月間の記事一覧
→紀伊國屋書店で購入 四十年ちかい歳月を経て復刊した本書のオリジナルは昭和五十一年、文化出版局刊。 石井好子の代表作『巴里の空の下 オムレツのにおいは流れる』といえば、パリ暮らしのなか、フランス人のくいしん坊ぶりに触れ、食べることの楽しみに開…
→紀伊國屋書店で購入 「『片づけられない』は現代の病理なのか?」 テレビのニュースで度々特集されるテーマの一つに、「片づけられない病」「ゴミ屋敷」がある。これらの特集では、片づけられない人が迷惑な隣人として描かれ、当事者がテレビのリポーターか…
→紀伊國屋書店で購入 「メジャー化する二次創作と「大いなる虚構」は両立するか?」 本作は、誰もが知る特撮作品『ウルトラマン』の二次創作である。 舞台は、ゼットンに倒された初代ウルトラマンが宇宙へと帰っていってから数十年後。ウルトラマンと同化し…
→紀伊國屋書店で購入 「雑誌文化の過去・現在・未来」 本書は、新進気鋭のメディア論者たちによって編まれた、雑誌文化に関する論文集である。 といっても、単に雑誌メディアの現状に関する記述を寄せ集めただけではなく、むしろ幅広い視野の論文集となって…
→紀伊國屋書店で購入 「友だちが地獄化するという“逆説”の面白さ~「現代社会論の古典」として」 本書は筑波大学大学院教授で、社会学者の土井隆義氏による新書である。2008年に出された著作なので、今さら新著紹介として取り上げるべき対象ではないが、…
→紀伊國屋書店で購入 「「正規戦」ではなく「ゲリラ戦」の兵士となるために 」 本書は、京都大学客員准教授であり、同大学で「意思決定論」「起業論」「交渉論」などの講義を担当する瀧本哲史氏が記した、若者たちを啓発するための著作である。 氏には、本書…
→紀伊國屋書店で購入 著者、小原雅博は、在シドニー日本総領事である。これまで、「アジア局地域政策課長、経済協力局無償資金協力課長、アジア大洋州局審議官などを務め」た外交官である。著書に、学術書に近い『東アジア共同体』『国益と外交』のほかに、…
→紀伊國屋書店で購入 「ジョーン・ディディオンの心の風景」 村上春樹の翻訳者であるジェイ・ルービンがニューヨーカー誌のポッドキャストである「New Yorker: Out Loud」(2011年8月30日付)で翻訳文学作品は読むなと言っている。何故なら作品はほか…
→紀伊國屋書店で購入 「エスプリの利いた大人の寓話」 ブラックユーモアとも風刺とも違う。文学作品をジャンル分けすることが無意味だということを、見事に思い知らせてくれるのが、リン・ディンの『血液と石鹼』だ。40近い短編が収められているが、冒頭の作…
→紀伊國屋書店で購入 2011年同社刊の単行本の文庫化。 著者は、98年より、〈食DRIVE〉調査という定性調査を実施し、食卓を通して現代の家族の実態を研究・考察している。前著、『変わる家族 変わる食卓 ―真実に破壊されるマーケティング常識』(中公文庫)、…
→紀伊國屋書店で購入 「スポーツの多様性を想像するための一冊」 タイトルからは、本書は現代スポーツの情勢を地理的、ビジュアル的に把握するための図鑑か、教養として読んでおくべき教科書のようなものをイメージした。ところが、本書はいい意味でそのよう…
→紀伊國屋書店で購入 「東大って、やっぱりダメなの?」 オックスフォード大学との比較を通し、日本の大学、とくに東大を批判する――たいへんわかりやすい図式だと思う人もいるかもしれないが、ややトーンの変わる第三部に至って、語ろうとする内容をはみ出さ…
→紀伊國屋書店で購入 本書は、30年間余にわたって研究してきた日本・フィリピン関係史をまとめたものである。通常、還暦、退任といった節目にまとめるものを、一足早くまとめた。多くの研究者がまとめることができずに出版しなかったり、出版しても序章・終…
→紀伊國屋書店で購入 「足を洗いたいイギリス人マフィアの最後の仕事」 A life of leisure.日本語にすると悠々自適の生活。アメリカ人やイギリス人の思い描く理想の人生のひとつとしてこの a life of leisureがある。 素早くお金を儲けて若いうちに仕事を引…
→紀伊國屋書店で購入 「芸術家である」ということには、単に一芸に秀でているだけでなく、人間としてのバランスがとれていることも含まれるのではないだろうか。「エキセントリックな」という評価が先行するアーティストは別にしても、人生をかけてひとつの…
→紀伊國屋書店で購入 「ただの一発屋だと思っていました」 ごめんなさい。調子にのって自滅した、ただの一発屋だと思っていました。 島田清次郎について、本書を読むまで私が持っていたイメージは、 「大正時代の変人で一発屋。石川県に生まれ弱冠20歳で発表…
→紀伊國屋書店で購入 ―「書刑または屈葬」の現場検証― 父は、貧乏性で、滅多に単行本を買わなかったが、日課の本屋通いは死ぬまで続いた。耄碌しても、徘徊の行き先は本屋と決まっていたから、警察のお世話にもならずに済んだ。その父が、早晩死の床となる枕…
→紀伊國屋書店で購入 中国の台頭にたいして、ひじょうに危機感をもつ必要があるというものと、それほど心配する必要はないとするものが、入り乱れて報道されているため、いったいどっちに基づいて考え、対応すればいいのかわからなくなる。本書は、後者のよ…
→紀伊國屋書店で購入 あなたは宇宙人の電波を受信したことがありますか。衛星放送に偶然別の惑星の番組が映ったとか、ラジオから聞き覚えのない言語が流れてきたとか、もしそんなことが起きたら。速やかに「地球外知的生命の発見後の活動に関する諸原則につ…
→紀伊國屋書店で購入 アイビー・リーグに属する名門大学入学を目指す、良家の子女たちが通う私立高校「プレップ・スクール」。その、プレップ・スクール出身者、伝統的かつ格式の高いお家柄の人びと「プレッピー」の生態をつぶさに、そして諧謔をこめて綴り…
→紀伊國屋書店で購入 「コロンビア大学ジャーナリズム科の雑誌についてのレクチャー」 アメリカの作家/脚本家で作家ジョーン・ディディオンの夫であったジョン・グレゴリー・ダンによると雑誌ジャーナリズムでは最終的に「Why」が「Who」「What」「Where」…
→紀伊國屋書店で購入 「自己嫌悪ワールド」からの脱出」 今年話題を集めた『原発危機と「東大話法」』(明石書店、2012年1月) という本は、あの「3.11」であぶりだされた日本社会の病理を「言語」の問題として看破したのが衝撃的だった。自らの「立場」のた…
→紀伊國屋書店で購入 「これというものをひとつ書けばいい」 森敦は、その実人生の「物語」で知られた人である。作家を志して旧制一高を中退、菊池寛や横光利一の推挙で若くして文壇デビュー。太宰治をはじめ当時の花形作家とも交わり、22歳にして『東京日…
→紀伊國屋書店で購入 「原発作業員の証言」 「福島」は「Fukushima」になってしまった。1945年に「広島」や「長崎」が「Hiroshima」、「Nagasaki」になったように。今も世界中が「Fukushima」に注目している。だが私たち日本人は何を通して「福島」を見てい…
→紀伊國屋書店で購入 本書は、1983年に発足した日本経済思想史研究会が世に問うシリーズ「評伝・日本の経済思想」の1冊である。このシリーズには、柳田国男など、一見、経済思想とは無縁であるかのようにみえる人物も含まれている。革命思想家として知られる…
→紀伊國屋書店で購入 「今日の日を、ため息をつくように詠んで眠りたい」 姉の加藤静子さんが詠む句に、忘れていた記憶をいくつも呼び起こされた甘糟幸子さんが、あるとき、アルバムの代わりに句集を作ってはどうかと思う。自分の楽しみで作っているだけ、ひ…
→紀伊國屋書店で購入 著者、山本有造は、本書を楽しんで書いている。その理由は、長年(40年)疑問に思っていたことを、専門の数量経済史から離れて書くことができたからである。だからといって、まったく専門から離れたわけではないことが、本書を読めばわ…