2010-11-01から1ヶ月間の記事一覧
→紀伊國屋書店で購入 オングの『声の文化と文字の文化』でたびたび引用され、考察の重要な柱になっていた本だが、驚くべきことが書いてある。プラトンの時代はギリシアが口誦文化と文字文化が激突した知的革命の最終段階にあたり、プラトンは新興の文字文化…
→紀伊國屋書店で購入 これを読んで励まされない書き手はいない用事がなくて自由に時間が使える週末があれば、なによりもしたいのは都内の散策である。どこでも構わない。だが構わないとなるとかえって迷うもので、さて、どこに行こうと腕を組んで考え込む。…
→紀伊國屋書店で購入 母親にとって娘はもっとも近しい同性、つまりいちばんの批評家なので、女の人が母親について書いたものを読むのは楽しい(息子のそれはあまり読みたくないが)。わけてもこの、娘・洋子の書いた母・シズコさんのおはなしは格別である。 …
→紀伊國屋書店で購入 よほどのことがないかぎり、展覧会カタログを買うということをしなくなった。いちばん最近買ったのは『時の宙づり 生・写真・死』(IZU PHOTO MUSEUM、2008)だが、これは書店売りされていたものたったので、写真集を買う感覚で手に取っ…
→紀伊國屋書店で購入 「まだ見ぬ読者に届けたい言葉はあるのか?と問う」 「教育=贈与論」が内田氏の思考の軸である。これを、「メディア=社会教育=贈与論」という枠組みで語ったのが本書である。 内田氏が勤務先の神戸女学院で語った講義記録のテープ起…
→紀伊國屋書店で購入 本書は、2009年暮れにタイのアユタヤで急逝した著者、吉川利治の遺稿である。すでに2007年にタイ語で出版され、日本語版の出版に向けての改稿も終わりに近づいていた。 本書をタイ語で出版するきっかけになったのは、著者がタイの大学に…
→紀伊國屋書店で購入 「父と息子との補完関係」 親と子というのはどのような関係の存在なのだろうか。親が子を生むというのは、自己の分身を生産する事なのかもしれない。しかしその分身は、親が自己の中の異質な部分を「排除」しようとしたものだとしたら、…
→紀伊國屋書店で購入 欧米で文字学が散発的な試みにとどまり学問として確立していないのはソシュールに典型的に見られるように、文字言語は音声言語の写しにすぎず、たいして重要ではないとする考えが根強いからである。文字がつけくわわったのは人類の歴史…
→紀伊國屋書店で購入 →紀伊國屋書店で購入 知能に問題がなく教育も受けているのに、なぜか文字の読み書きができないディスクレシアという発達障害がある(日本語では「読字障害」もしくは「難読症」)。ディスクレシアの人の中には空間把握能力が並外れてい…
→紀伊國屋書店で購入 「寄り切られてしまいました」 ネットの普及によって、大学などで学生にレポートを書かせるとネット情報の「コピペ」だらけだという。せめて情報を書き写すだけでもなにがしかの勉強になるだろうからと、レポート作成は手書きでやらせて…
→紀伊國屋書店で購入 「思想としての「売文」」 明治・大正期の社会主義者としては、幸徳秋水、大杉栄、荒畑寒村らに比べて論じられる機会の少なかった堺利彦に光を当てた、本格的な評伝である。本書によれば堺は、1910年の大逆事件で幸徳らが一斉検挙された…
→紀伊國屋書店で購入 図書館でよく見かける『世界の文字の図典』というぶ厚くて重い本があるが、その普及版である。紙がアート紙から普通の印刷用紙に変わり手にもって読めるようになった。価格も三分の一で個人でも手が出せる範囲である。原著は1993年に出…
→紀伊國屋書店で購入 英語で「wise guy」と言うとマフィアメンバーのことを指す。アル・カポネ、ラッキー・ルチアーノ、バグジー・シーゲル、ジョン・ガッティなど有名なワイズ・ガイたちはアメリカ東海岸やラスベガスで大活躍(といったらいいのだろうか)…
→紀伊國屋書店で購入 自分自身がぼんやりと感じた違和感に徹底してこだわりなさい、と社会学ではしばしば教えられます。というのも、そうした違和感は、日々の生活の中では流されてそのままにされがちですが、実は非常に重要なテーマにつながることが少なく…
→紀伊國屋書店で購入 「うまれかわり、もう一度機会があれば、わたしたち[難民]は[定住先として]日本をえらびません」「[UN]HCR[国連難民高等弁務官事務所]は、欧米のNGOとともに新しい支配者としてやってきた」。著者の山村淳平が、日本に…
→紀伊國屋書店で購入 「半径2メートルで語る」 文学史とは、言ってみれば結婚式のスピーチのようなものである。「新郎新婦、どうぞご着席を」にはじまって、「こんなに笑顔のかわいらしい花子さんをもらって幸せな山田君よ」とか「辛いときこそ力を合わせて…
→紀伊國屋書店で購入 「ペリー遠征計画の基礎資料」 1852年7月に、日本に関する情報が集約された書籍がニューヨークで出版された。この4ヶ月後にペリーはアメリカを出航し、日本に向かっている。東インド艦隊司令長官であり日本派遣特派使節としての任務を負…
→紀伊國屋書店で購入 「離魂サスペンス」 古井由吉の作品では、主人公が頻々と自らの背中を見る。そこには、客観視と呼べるような強(したた)かさはなくて、むしろドッペルゲンガーの危うさや仮初(かりそ)めさに匹敵する浮遊感がある。いっそ古風に、脱魂や離…
→紀伊國屋書店で購入 1992年に、「国籍の異なる12名のヨーロッパ人歴史家たちが何度も討議を重ね、その上で共同執筆されたヨーロッパ史の教科書」が、EU(ヨーロッパ連合)加盟国の各国語で同時に刊行された(日本語訳:木村尚三郎監修『ヨーロッパの歴史…
→紀伊國屋書店で購入 「奇妙なリズムを求めて」 『眼の冒険』、『はじまりの物語』と松田氏の本を愛読してきたが、本書も期待通りだった。期待通りというのは、実に軽々とこちらの予想を裏切ってくれるという意味である。タイトルに「線の冒険」とあって目次…
→紀伊國屋書店で購入 「アフリカ出身の作家、アディーチェの短編集」 アメリカに住む日本人として、ジュノ・ディアズ、ジュンパ・ラヒリ、ハ・ジン、エドウィージ・ダンティカなどの移民の体験や声を伝える作家や作品を数多く読んできた。 今回、ニューヨー…
→紀伊國屋書店で購入 住所は、「東京都千代田区千代田 皇居 御所」、姓はない。職業選択の自由もなければ、定年も引退もない。休日出勤は当たり前、休暇先にも仕事が運ばれてくる。もし、天皇がいなくなったら、本書に書かれている仕事のかわりは、だれがど…
→紀伊國屋書店で購入 「<劇評家の作業日誌>(52)」 伝説の『新宿八犬伝』が完結した。 1980年代の小劇場を賑わした川村毅率いる第三エロチカの代表作が、この秋、第五巻「犬街の夜」をもって、シリーズの幕を下ろしたのだ。同時に、80年に創設さ…
→紀伊國屋書店で購入 「写真家とはこういう者である」 ロベール・ドアノーと聞いて、その人、だれ?と首を傾げる人でも彼の写真は見ているはずである。恵比寿の東京都写真美術館に行くと入口の通路のところで、壁にプリントされたキスをする恋人をとらえた巨…
→紀伊國屋書店で購入 「客観的な目でみた中国の科学技術開発と、日本との関係」 日本はいずれ中国に追い越されそうだ、という焦燥感が、今の日本には蔓延している。その懸念にはある程度妥当な側面もあれば、単に隣の芝生を青く見ているだけの側面もあるだろ…
こんにちは。ちょうどひと月ぶりの更新です。 今回の内容は大きくふたつ。いずれも以前このブログで取り上げたフェアのその後の展開についてです。 好評のうちに幕を閉じました「紀伊國屋カルチャー・トリップ-今読みたいSF100」の結果発表と、紀行文フェア…
→紀伊國屋書店で購入 「スティグレールの哲学の巧みな要約」 本書は、スティグレールの技術と時間についての著書の内容について、フランスのラジオ番組での連続インタビューで要約したものである。これまでスティグレールの著書は何冊も訳されてきたが、彼の…
→紀伊國屋書店で購入 1960年にエリザベス2世女王の次男として生まれたヨーク公アンドルー王子は、78年に海軍に入隊し、82年に起こったフォークランド戦争にヘリコプターのパイロットとして従軍した。当初、後方事務の仕事へ異動させる話があったが、母の女王…