2009-01-01から1ヶ月間の記事一覧
→紀伊國屋書店で購入 ある流派が成功するかどうかは、努力が報われるかどうかにかかっているという説がある。努力しなくてもできるような流派は最初からはやらないが、いくら努力しても才能がなければ格好がつかない流派もはやらない。しかるべく努力すれば…
→紀伊國屋書店で購入 チボーデが1912年というきわめて早い時期に書いたマラルメ論である(邦訳は1926年の改訂版にもとづくが、訳者解説によるとそれほど大きな異同はないらしい)。 チボーデはヴァレリーと同世代の戦前のフランスを代表する批評家である。ヴ…
→紀伊國屋書店で購入 ロマンティックかつモダンな美女たちを描きつづけた東郷青児。編者の野崎泉をはじめ、ここに文章を寄せた女性たちにとっての青児体験は、女子寮に飾ってあったレプリカや喫茶店のマッチ、あるいは本の装幀であったりした。 そうした乙女…
→紀伊國屋書店で購入 「至近距離でとらえた人間賛歌」 二十年以上前に中国を旅したときはかなりめげた。人々が強気で、強引で、毅然とした態度で、すべてにおいて負けそうな雰囲気だったのだ。きっといま旅しても印象は変わらないだろうと、中国各地の路上で…
→紀伊國屋書店で購入 フランスではマラルメの入門書として定評のあった本だそうである。初版は1953年に出たが、1971年に改訂版が出て、それを邦訳したのが本書である。初版刊行後に出たリシャールの『マラルメの想像的宇宙』などがたびたび引照されているこ…
→紀伊國屋書店で購入 「デカルトの頭蓋骨をめぐる奇妙な歴史」 「我思う、ゆえに我あり」。 フランスの哲学者デカルトの言葉だが、いまこの言葉を聞いて衝撃を受ける人はまずいないだろう。どこか記憶の片隅に留められている言葉であり、この言葉により自分…
→紀伊國屋書店で購入 1875年、33歳だったマラルメは学生時代から念願だったポオの「大鴉」の翻訳を、マネの石版による挿画6葉をえて、版画社という個人経営の出版社から二折版七ページの豪華本として上梓した。二折版は新聞よりも一回り大きな版型で、製本さ…
→紀伊國屋書店で購入 人なみにあらたまった気持ちで新年を祝い、さて今年の行く末はと我にかえるが、自分のことはひとまず向こうへ押しやって、そわそわとオダサクで明け暮れるこの正月であった。 妻も子もある惣領の身で若い芸者の蝶子と駆け落ちし、勘当さ…
→紀伊國屋書店で購入 高等中学時代の文学の目覚めから「エロディヤード婚礼」の改稿にとりくんでいるさなかにみまった死まで、マラルメの文学的生涯をたどった評伝である。『ユリイカ』に2002年から26回にわたって連載した原稿が元になっていて、各章は15ペ…
→紀伊國屋書店で購入 「司馬遼太郎の見える風景」 毎年中学3年生から高校3年生までの生徒に、大学の卒業論文のミニチュア版のような、Extended Essayというものを書かせている。テーマを決める所から始めて、資料探しやノート取り、プランニング、下書き、清…
→紀伊國屋書店で購入 いつものように帯の宣伝文句を見て、表紙見返しの要約を読んで、「はしがき」「あとがき」と読み進んだ。この段階で、本書に期待していいのかどうか、よくわからなかった。 帯には、「台頭するアジアの巨象の行方は? 独立からすでに離陸…
→紀伊國屋書店で購入 「いかにして私はボスを殺害したか」 昨年来話題の水村美苗『日本語が亡びるとき』。筆者も友人から「読め、読め、読め、」と言われて半分くらいまで来たところだが、今回のアラヴィンド・アディガ『ホワイト・タイガー』は、まさに水村…
→紀伊國屋書店で購入 「新国誠一は〈伝説の〉詩人である」 生前ただ1冊の詩集を残した新国誠一(1925-1977)は、漢字を組み合わせたり分解して1篇の作品とした「象形詩/視る詩」と、仮名と数字を用いてさながら楽譜の役割を担わせたかのような紙片とその朗読…
→紀伊國屋書店で購入 アジアの経済発展が、欧米の先進国に追随したものではないことが明らかになり、その経済発展の原動力を、歴史や文化に求めるようになってきた(ようやく!)。本書の目次を見てもそのことがわかる。 第1章 東南アジアの現在 第2章 東南…
→紀伊國屋書店で購入 私は精神科医だが、発達障害に関する知識は、ほぼ文献的なものに限られている。そういう「門外漢」として言うのだが、この領域の当事者本はきわめて「面白い」ものが多い。それらはしばしば、専門家による臨床的記述をはるかに凌駕する…
→紀伊國屋書店で購入 バレンボイムは実に多才な音楽家だ。演奏にはたぐいまれな安定感がある。若い時から、「危うさ」を感じさせない演奏がバレンボイムの魅力だったように思う。そして彼のレパートリーの広さと量も並大抵ではない。天才、なのだろうか? ず…
→紀伊國屋書店で購入 近代以降の「盛り場」研究の入念な検証。明治初期、博覧会とその開催地として近代的な都市計画の舞台とされた上野。江戸以来の盛り場から、民衆の娯楽の地へと変貌した浅草とモダン都市銀座。戦後の高度成長期における新宿と渋谷。近代…
→紀伊國屋書店で購入 「潜み笑いとメタ批評」 「英米文学研究にはこんなこともできるのだ!」を示すには格好の一冊である。2000年の出版だが、すでに古典の風格がある。 著者の折島正司は1947年生まれ。60年代後半に学生生活を送り、70年代には…
→紀伊國屋書店で購入 「盗作検証というタブーはこの本で消滅!?」 ある小説が盗作であると噂されたり、ニュースになることがあります。その多くはどういう決着になったのか報じられないまま、話題そのものが消えていきます。 文学業界のなかでは、盗作問題…
→紀伊國屋書店で購入 「タイムマシンの作り方」 「想像力は知識よりも大切だ。知識には限りがあるが、想像力は世界を巡る」 アインシュタインの言葉だ。 このアインシュタンの言葉のように、人々の想像力をかりたてる研究をしている博士がいる。それがコネチ…
→紀伊國屋書店で購入 文献以外の歴史資料を使って歴史を分析することの必要性が唱えられながら、それを実践することはそれほどやさしいことではない。文献以外の史料だけで分析することは難しく、文献史料の読解力もあわせて必要だからだ。しかし、本書は文…
→紀伊國屋書店で購入 「新しい論壇は、世代間対立の戦場になった」 ウエブの行方をウォッチングしているジャーナリスト、佐々木俊尚さんが、インターネットの世界に日々生成されている「ブログ論壇」について分析した一冊。いま日本語のブログ執筆者は、英語…
→紀伊國屋書店で購入 「リーマン破綻後の世界を読む」 エコノミスト水野和夫さんの名著『人々はなぜグローバル経済の本質を見誤るのか』 では金融帝国アメリカがいかにして成立したのかが描かれていました。資本は国家を超えて動いており、その資本の流れの…
→紀伊國屋書店で購入 [劇評家の作業日誌](42) この一年出会った本のなかで、時代の「証言」という性格を帯びたものに心が動かされることが多かった。今、何とかして語っておかねばならないことがある--そうした気迫が書物という形をとって伝わってきたの…
→紀伊國屋書店で購入 オリコンから名誉毀損で訴えられたジャーナリスト烏賀陽弘道さんの最新刊。以前からカラオケの歴史について取材執筆中と聞いていました。法廷闘争で注目されていますが、烏賀陽さんの本業は、言論の自由のために戦う活動家ではなく、フ…