書評空間::紀伊國屋書店 KINOKUNIYA::BOOKLOG

プロの読み手による書評ブログ

2004-01-01から1年間の記事一覧

『統計でウソをつく法 』ダレル・ハフ・高木秀玄 (講談社 )

→紀伊國屋書店で購入 ネットワークエンジニアは統計情報をよく扱う。ネットワークに限らず、エンジニアはコンピュータと対話しなければならないが、先方は人間の言葉はしゃべれないため、大量のログという形で情報を下達してくる。「ログを大事にしなきゃい…

『ニューメリカルレシピ・イン・シー 日本語版—C言語による数値計算のレシピ 』(技術評論社)

→紀伊國屋書店で購入 数値計算といえば、Fortranですよね!という研究者はまたまだ多い。しかし、Fortranという言語自体の生息例・目撃例が減少していることは周知の事実である。研究者であればまだよい。暇と研究費にものを言わせてどこからでもブツを取り…

『デジタル社会の編成原理-国家・市場・NPO 』(NTT出版)

→紀伊國屋書店で購入 ネットワークはその上でサービスが稼働してはじめてユーザに利用してもらえる。通信が繋がっただけで欣喜雀躍できるのは、パソコンおたくとネットワーク屋だけである。それをベースにWebやメールのシステムが稼働し、そこにお客さんがつ…

『新Perlの国へようこそ』斎藤靖(サイエンス社)

→紀伊國屋書店で購入 Perlといえば軽量スクリプト言語の雄である(最近はあまり軽量ではない)。ちょっとしたCGIを作るのに最適だし、多機能化された現在の実装であれば業務システムだって書けないことはない。しかし、Perlを本格的に学ぼうとすると意外に機…

『伽藍とバザール—オープンソース・ソフトLinuxマニフェスト 』レイモンド,エリック・スティーブン(光芒社 )

→紀伊國屋書店で購入 インターネット上で何らかの業務を行う場合、いや個人の趣味の範囲内でインターネットを利用する場合でも、今や著作権関連のさまざまな知識で武装しておく必要がある。下手に知的財産権を侵害しようものなら、いつ何時訴えられるか分か…

『欺術—史上最強のハッカーが明かす禁断の技法 』ミトニック,ケビン/サイモン,ウィリアム(ソフトバンクパブリッシング)

→紀伊國屋書店で購入 比較的新しい書籍で、しかもかなり売れたので、ここで敢えて紹介する必要はないのかも知れない。しかし、「おれおれ詐欺」(最近の手口と実態に齟齬が生じてしまったので、警察庁は名称を変更するようだ)などが相変わらずはびこってい…

『NPMによる行政革命—経営改革モデルの構築と実践 』大住 荘四郎(日本評論社)

→紀伊國屋書店で購入 「せっかくITを導入したのに、いまひとつ効果のほどが分からない」と悩んでいる人はすごく多い。大抵の企業の社長さんはそう考えているし、官僚も同様だ。これから増税が始まると言われている時期に、延べ何兆円も突っ込んできた行政シ…

『ハッカー認定試験—3級合格標準問題 』日本セキュリティ学院【編】(データハウス ()

→紀伊國屋書店で購入最近、セキュリティ、セキュリティと喧しい。2005年4月には個人情報保護法の完全施行もある。今どきのセキュリティ担当者は過大なストレスを溜め込んで引きこもりになりそうな勢いである。いつも攻撃される立場では精神衛生によくないの…

『1冊でわかる暗号理論 』パイパー,フレッド/マーフィ,ショーン(岩波書店)

→紀伊國屋書店で購入 暗号理論をきちんと学ぼうとすると、数学を避けて通ることはできない ~ と、ここまで聞いて暗号の勉強をやめにしてしまう人がほどんどである。結局暗号の概説書は、数式を書かないようにして(書くと売れないから)上っ面だけをなでて…

『データベースの設計 』ティオリー,トビー・J.(勁草書房)

→紀伊國屋書店で購入 ITエンジニアには1つの経験則がある。すなわち、「データベースエンジニアはネットワークが嫌いで、ネットワークエンジニアはデータベースが大嫌いだ」というものである。かくいう筆者もデータベースとはできればお付き合いしたくないの…

『待ち行列理論 』大石進一(コロナ社)

→紀伊國屋書店で購入 ネットワークの性能を見積もるために、待ち行列は避けて通ることのできない理論体系である。しかし、ポアソン分布、アーランB式、呼損率などを前に討ち死にする人が後を絶たない。特にネットワークエンジニアの一大イベントである10月第…

『オブジェクト指向への招待—思考表現のための新しい方法 』春木良且 (近代科学社)

→紀伊國屋書店で購入 オブジェクト指向とは1つの思想である。オブジェクト指向プログラミングを学んでいる人で、この点を勘違いされている方は多い。例えば、C++やJavaは確かにオブジェクト指向プログラミング言語であり、オブジェクト指向の発想をプログラ…

『Solarisシステム管理 』城谷洋司(アスキー)

→紀伊國屋書店で購入商用UNIXとして巨大な成功を収めるSunMicrosystemsのSolaris。本書はSolarisのすべてが分かるリファレンスの決定版である。製本技術者を挑発するようなページ数とあまりの情報量に裏技大全集的な色合いすらある。Solarisは基幹システム向…

『MCSE教科書 TCP/IP—試験番号 70‐059 』ティッテル,エド/ハドソン,カート/スチュワート/J,マイケル(翔泳社)

→紀伊國屋書店で購入 MCPというのはMicrosoft社が行っている資格試験で、Windowsなどの技術力を認定するものである(MCSEはその上位資格)。こうしたベンダが行っている試験は、教材や受験料が高く、また以前はWindowsの信頼性も低かったことから、揶揄的に…

『シャーロック・ホームズの帰還 』ドイル,アーサー・コナン(河出書房新社)

→紀伊國屋書店で購入 暗号理論は数学と密接に結びついている。したがって、暗号の本質に触れるためには高等数学を避けて通るわけにはいかないのだが、初学者には本書のようなアプローチもありだ。本書収録の「踊る人形」において謎を解明していく方法は、換…

『すべてがFになる』森博嗣(講談社)

→紀伊國屋書店で購入 ネットワークやセキュリティの学習を始めようと思ったときに、ネックになりやすいのがテクニカル・タームの多さである。出てくる都度、調べていけばよいのだがとても面倒くさい(これを解決するためにハイパーテキストが生まれたという…

『アラン・ケイ』ケイ,アラン・C.(アスキー)

→紀伊國屋書店で購入 エンゲルバートを紹介したので、続けてもう1人だけ偉人伝シリーズを。アラン・ケイはパーソナル・コンピュータという概念を初めて提唱した先駆的研究者である。1960年代のコンピュータというのは、重戦車のような代物だった。大きくて重…

『ブートストラップ—人間の知的進化を目指して』バーディーニ,ティエリー(コンピュータ・エージ社)

→紀伊國屋書店で購入 ダグラス・エンゲルバートをご存じだろうか。本人を知らない人でも、「マウスを発明した人」というと、「へーっ!」となる。現在のGUI環境に欠かせないデバイスを生んだ男である。マウスのプロトタイプ開発は1964年、今でこそ「マウスく…

『TCP/IPバイブル 』ウォッシュバーン,ケビン(ソフトバンク)

→紀伊國屋書店で購入どんな世界にも「そこに行けばなんとかなる」「あの人に聞けば必ず分かる」というキーポイントがある。宗教のことで分からないことがあれば、取りあえず中沢新一の本を読もうかとか、アニメのことで知りたいことがあればまずは秋葉原に行…

『マスタリングTCP/IP入門編 』竹下隆史/村山公保/荒井透/苅田幸雄(オーム社)

→紀伊國屋書店で購入 先にはっきり断っておくと、本書は「入門編」と銘打ってあるが、決して取っつきやすい書物ではない。インターネットの中核技術であるIP(インターネット・プロトコル:インターネット上の通信規約)について、淡々と修行僧的な静謐さで…