2012-06-01から1ヶ月間の記事一覧
→紀伊國屋書店で購入 中西秀彦『学術出版の技術変遷論考』の終章では今後の印刷所の生きのびる方途として文書の構造化支援をあげていたが、多くの人は文書の構造化という言葉にはなじみがないかもしれない。なじみがないのは言葉だけで、実際は普通に目にし…
→紀伊國屋書店で購入 京都という、平坦な碁盤の目状の町に長らくいた。移動手段はもっぱら自転車、バスを使うことはあっても、それは大抵、大通りをまっすぐに進み、一度だけ直角に曲がってさらにまっすぐ、はい到着! ただひたすら、「運ばれている」という…
→紀伊國屋書店で購入 片岡義男は実に不思議な作家だ。言葉の操り出し方、思考の進め方に独特のスタンスがある。その視野の広がりといい、どこにも帰属しない孤高性といい、既存のジャンルにとらわれない書き方といい、ほかに例を見ない。 とはいうものの、最…
→紀伊國屋書店で購入 「「女性学」から「女子学」へ」 大学、あるいはその他の教育機関でも同様だと思うが、「男子よりも女子の方が元気がいい」という傾向が顕著である。例えば、成績優秀者をリストアップすると、決まって上位は女子が独占するといった傾向…
→紀伊國屋書店で購入 「男性側から「性愛至上主義」の崩壊を描いたルポルタージュ」 本書は、かの「東スポ」こと「東京スポーツ」紙に連載された記事が元になったものであり、その点からも、半分以上は「ネタ」として差し引きつつながら、面白がって読み進め…
→紀伊國屋書店で購入 グーテンベルクの徒弟にペーター・シェッファーという男がいた。シェッファーは徒弟とはいってもパリ大学に学び、グーテンベルクに出資したフストが印刷工房を差し押さえると工房の運営をまかされ、後にフストの娘と結婚して印刷を家業…
→紀伊國屋書店で購入 「鉄道オタクが自分を「客観視」できる貴重なマンガ」 オタクとは驚くほど周りが見えていない存在である。だから、しばしば顰蹙を買うような行動を平気でするが、鉄道オタクはその最たる例かもしれない。駅などで、周りの乗客の迷惑も顧…
→紀伊國屋書店で購入 「メディア論テキストのニュー・スタンダード」 本書は、放送大学の大学院向けに書かれたものであり、私も今年度前期の大学院ゼミでの購読テキストに指定した。だがそのわかりやすさと内容の濃密さからして、一定レベル以上の大学であれ…
→紀伊國屋書店で購入 京都に学術書の印刷で知られる中西印刷という印刷所がある。慶応元年創業の150年の歴史のある老舗だが、ビルマ語辞典や西夏文字の仏典などといったややこしい文字の出てくる本ならここしかないと、出版業界では有名な会社である。そこの…
→紀伊國屋書店で購入 電子書籍について早くから発言してきた津野海太郎氏の論集である。 三部にわかれ、第一部は本書のための書き下ろし、第二部は2001年から2009年までに発表した電子書籍関係のエッセイ、第三部は1986年にリブロポートから出た『歩く本―ブ…
→紀伊國屋書店で購入 電子書籍のパイオニアであり「Mr.電子書籍」の異名のあるボイジャーの萩野正昭氏の半生記である。 はじめにお断りしておくが、本書は Kindleがどうのこうのとか、電子書籍の未来がどうなるといった話題をテーマとした本ではなく、そうし…
→紀伊國屋書店で購入 野村総研がまとめた電子書籍に関するレポートで、190ページの本文に100枚の図版がはいっている。図版にはグラフだけでなく、図表、年表、写真なども含まれる。 大量の図版が投入されていることからもわかるように、本書は徹頭徹尾数字で…
→紀伊國屋書店で購入 書籍の電子化を支援する出版デジタル機構の会長に就任して時の人となっている植村八潮氏が印刷学会の機関誌「印刷雑誌」に連載している「デジタル出版よもやま話」というコラムをまとめた本である。序にあたる「電子書籍ブームの中で本…
→紀伊國屋書店で購入 著者の堤未果のもとに、東日本大震災と福島第一原発事故が起きた日の夜、海外に住む友人たちから次々に連絡がきた。そのなかに、つぎのように警告した友人がいた。「気をつけて。これから日本で、大規模な情報の隠ぺい、操作、統制が起…
→紀伊國屋書店で購入 電子書籍ブームの余波で電子教科書にも注目が集まっているが、教育現場に近い人ほど電子教科書に冷笑的になる傾向がある。教育の電子化は「元年」を連発する電子書籍以上に長い歴史があり、子供だましのコンピュータごっこを見せられて…
→紀伊國屋書店で購入 前回、本欄で電子書籍関連本をとりあげた際、もっとも周到な取材にもとづいて書かれた『iPad vs. キンドル』の著者、西田宗千佳氏が2010年末に出版した本である。 序章と第一章でソニーの Readerとシャープの GALAPAGOSの比較をおこなっ…
→紀伊國屋書店で購入 世界的な企業は二人の対照的な人物によって創業されることが多い。ソニーの井深大と盛田昭夫、本田技研の本田宗一郎と藤沢武夫、ヒューレット・パッカード社のウィリアム・ヒューレットとデビッド・パッカード、マイクロソフト社のビル…
→紀伊國屋書店で購入 →紀伊國屋書店で購入 ジョブズの伝記はおびただしく出版されており、邦訳されたものだけでも20タイトル以上ある。アップル社を辞めた1985年頃に第一の波があり、アップル社の立て直しに成功した2005年頃に第二の波があった(本欄でもヤ…
→紀伊國屋書店で購入 中公版『哲学の歴史』の第四巻である。このシリーズは通史だが各巻とも単独の本として読むことができるし、ゆるい論集なので興味のある章だけ読むのでもかまわないだろう。 本巻は15世紀から16世紀に勃興したさまざまな思潮をあつかう。…
→紀伊國屋書店で購入 「人々の住んだニューヨークを日記で綴る」 ニューヨークに住んでいると、この街の歴史を感じることが多い。僕は夜にアパートを出て外のベンチに座り、通りをぼーっと眺めていることがある。以前はソーホーを夜に散歩するのが好きだった…
→紀伊國屋書店で購入 「プルーストの投球術」 プルーストは誤解されやすい作家だ。『失われた時を求めて』と聞くと、まず思い浮かべるのは難解な文章でつづられる曖昧模糊とした世界と、あふれるナルシシズムとスノビズムとノスタルジア、それと目もくらむほ…
→紀伊國屋書店で購入 本書の帯に、1991年に天皇が初めてインドネシアを訪問したとき、インドネシアの有力紙に掲載された社説の題「傷は癒えたが傷痕は残っている」が大書されている。「[日本の占領・軍国主義化の]苦しみと残虐な外傷はまだ残っており、彼…
→紀伊國屋書店で購入 「家族の同意による「脳死」臓器移植のおかしさ」 平成22年7月、改正臓器移植法により15歳未満も含めて家族の承諾で「脳死」での臓器提供が可能となった。あれから約2年。この間の15歳以上の提供は89例と急増したが、15歳未…
→紀伊國屋書店で購入 「鍬と宇宙船 II」 2007年に出版された『鍬と宇宙船』の続編である。ジャーナリストだった秋山は1990年12月に日本人初の宇宙飛行士としてソ連の宇宙船ソユーズに乗り組んで宇宙ステーション・ミールに行き、そこから美しい地球の姿を報…
→紀伊國屋書店で購入 ">―『蜘蛛の微笑』の形成手術― 2004年に翻訳出版された本書は、ついこのあいだまで『蜘蛛の微笑』というタイトルだった。原題『Mygale』(毒グモ)を文意に沿って意訳したものだ。ちなみに、イギリスでのタイトルは『Tarantula(タラン…
→紀伊國屋書店で購入 「ジョイス・キャロル・オーツが描く心の地図」 表紙に惹かれて本を買うという買い方があるけれども、ジョイス・キャロル・オーツの『Broke Heart Blues』がまさにそうだった。 ピンクのキャデラックに米国北東部の秋の風景が映ったカバ…
→紀伊國屋書店で購入 「「終活」のバイブル」 日本では「終活」という言葉が流行っているらしい。紛れもなく老人大国であるから、それは当然の現象であるし、自分の身の始末を元気な時に考えておくことは、重要なことであるに違いない。だが、我々はなかなか…
→紀伊國屋書店で購入 「詩人哲学者の臨終の一句」 松尾芭蕉の最後の一句として有名なのは、「旅に病(やん)で夢は枯野をかけ廻(めぐ)る」である。大坂への旅の最中であった。享年51歳。西行、宗祇、李白、杜甫といった先人と同じく、旅に死すのは本望であ…
→紀伊國屋書店で購入 下着デザイナー・鴨居羊子の初期の作品(下着会社チュニックの商品)には、鴨居自らが刺繍をほどこしたスリップやショーツがあったという。下書きなしで、薄い布地に直接チクチクと針を刺していったというのは彼女のデッサン力と手先の…
→紀伊國屋書店で購入 文字通り、小著である。だが、この小著でさえ、すこしこのテーマにかんして知識がある人なら、1冊の本になるとは想像だにしなかっただろう。著者であるわたし自身も、すこし調べて、とても無理だと思った。それが可能になったのは、参考…