書評空間::紀伊國屋書店 KINOKUNIYA::BOOKLOG

プロの読み手による書評ブログ

2014-10-01から1ヶ月間の記事一覧

『「恩恵の論理」と植民地-アメリカ植民地期フィリピンの教育とその遺制』岡田泰平(法政大学出版局)

→紀伊國屋ウェブストアで購入 植民地支配は、解放されて独立すれば終わりではない。それをもっとも如実に感じているのは、歴史研究者だろう。植民地時代を支配された側の視点で書くだけの充分な史料がないだけでなく、多くの史料が植民地支配を正当化するも…

『人間科学としての地球環境学-人とつながる自然・自然とつながる人』立本成文編著(京都通信社)

→紀伊國屋ウェブストアで購入 本書は、2001年に大学共同利用機関として設立された総合地球環境学研究所(地球研)の12年目の節目(初代所長6年間を引き継いだ編著者立本成文の退任)を記念して出版された。地球研のミッションである「人間と自然の相互作用環…

『靖国参拝の何が問題か』内田雅敏(平凡社新書)

→紀伊國屋ウェブストアで購入 本書のタイトルの答えが、帯にある。「問題は歴史認識!」「中国・韓国の批判はただの言いがかりなのか?批判されているのは追悼行為ではない。先の戦争は正しかったという靖国の歴史観は、戦後の平和秩序をご破算にする!」。…

『漁撈の民族誌-東南アジアからオセアニアへ』秋道智彌(昭和堂)

→紀伊國屋ウェブストアで購入 本書は、著者秋道智彌の40年に及ぶ東南アジア・オセアニアを中心に海や川べりを歩いた成果である。著者は、「現場で漁に参加し、獲れた魚を食べ」、つぎのように長年の調査を述懐している。「魚の獲り方や漁にかかわる人びとの…