書評空間::紀伊國屋書店 KINOKUNIYA::BOOKLOG

プロの読み手による書評ブログ

2014-08-01から1ヶ月間の記事一覧

『観光メディア論』遠藤英樹・寺岡伸悟・堀野正人編(ナカニシヤ出版)

→紀伊國屋ウェブストアで購入 「『メディアからの観光論』と『観光からのメディア論』が交差するところ」 「観光メディア」といったときに思い浮かぶものはなんだろうか。名所、史跡を網羅した旅行ガイドブック、地域の名店や名物料理を満載したグルメ雑誌、…

『日本は戦争をするのか-集団的自衛権と自衛隊』半田滋(岩波書店)

→紀伊國屋ウェブストアで購入 日本が戦争をすれば、まず最初に戦闘に参加するのは自衛隊である。その自衛隊の現場の声が聞こえてくるのが、最後の章である「第6章 逆シビリアンコントロール」である。その最後は、つぎのことばで締めくくられている。「自衛…

『集団的自衛権と安全保障』豊下楢彦・小関彰一(岩波書店)

→紀伊國屋ウェブストアで購入 「「他国防衛」のための戦争が日本の安全を高める、という論理を根底から問い直す」と帯にある。本書の1節でも理解している国民が大多数を占めれば、本書は無用の長物になる。だが、現状は首相の「国民に分かりやすく」のことば…

『ALL ABOUT ALASKA アラスカへ生きたい 』石塚元太良 井出幸亮 (新潮社)

→紀伊國屋ウェブストアで購入 古代より多くの人間たちがその厳しい自然の中に何とか爪痕を残そうと悪戦苦闘を続けてきたこの土地は、一筋縄ではいかない。簡単に商業化され、レジャーランドになってしまうようなヤワなエリアではない。もちろん、世界屈指の…

『新興アジア経済論-キャッチアップを超えて』末廣昭(岩波書店)

→紀伊國屋ウェブストアで購入 本書は、著者末廣昭が、2000年に出版し、2008年に増補改訂版を英語で出した『キャッチアップ型工業化論-アジア経済の軌跡と展望』(名古屋大学出版会)の続編である。だが、副題「キャッチアップを超えて」に示されているよう…

『復興の文化空間学-ビッグデータと人道支援の時代』山本博之(京都大学学術出版会)

→紀伊國屋ウェブストアで購入 5.03, 5.69, 5.50, 6.35, 6.01, 4.63, 6.22, 6.49, 6.26, 5.78%。これらの数字は、2004年以降のインドネシアの経済成長率をあらわしている。2004年12月26日のスマトラ島沖地震・津波、2005年3月28日のニアス地震、2006年5月27…