書評空間::紀伊國屋書店 KINOKUNIYA::BOOKLOG

プロの読み手による書評ブログ

2006-10-01から1ヶ月間の記事一覧

『若者たち、三部作』<br>「若者たち」「若者はゆく」「若者の旗」<br> 森川時久【監督】田中邦衛【出演】<br> (ジェネオンエンタテインメント)

→紀伊國屋書店で購入 BGM(Nickel Back/Silver Side Up:25周年記念スペシャル・エディション(2005)) 「品(ひん)でしょうかね 結局のところ 品格の前の清潔清楚な品」 さよならはもう言った もう何も言う事はない 小さな教会、小さな街 涙さえ流さず …

『漢字樹』 饒宗頤 (アルヒーフ)

→紀伊國屋書店で購入 先日、TBSの「ふしぎ発見」で、最古の文字の可能性がある岩絵を紹介していた。 問題の岩絵は中国の寧夏回族自治区銀川近郊の砂漠で発見された(中国情報局)。1万8000年から1万年前のものと推定され、太陽や月、神、狩りや踊りなどの様…

『漢字百珍』 杉本つとむ (八坂書房)

→紀伊國屋書店で購入 江戸時代に豆腐料理のレシピばかりを集めた『豆腐百珍』という料理本が流行ったそうだが、本書は38の漢字の異体字を選んで蘊蓄をかたむけた本である。杉本つとむ氏は国語学者で語源や異体字の研究で著名な人だが、名著『江戸の博物学者…

『現代日本の異体字』 笹原宏之+横山詔一+エリク・ロング (三省堂)

→紀伊國屋書店で購入 「国立国語研究所プロジェクト叢書」の一冊として刊行された本で、「漢字環境学序説」という副題がついている。漢字環境学は聞きなれない言葉だが、われわれが日常の暮らしの中で出会っている漢字のありようを研究する学問ということの…

『日本の漢字』 笹原宏之 (岩波新書)

→紀伊國屋書店で購入 日本語は漢字、ひらがな、カタカナ、ローマ字、ギリシャ文字等々、多彩な文字を併用する世界でも稀な言語だが、なかでも漢字はきわめつけ多彩である。甲骨文以来の三千年の歴史の中で字種は何万にも増えたし、日本で作られた漢字(国字…

『人名用漢字の戦後史』 円満字二郎 (岩波新書)

→紀伊國屋書店で購入 日本では1948年以来、子供の命名に使える字は当用漢字表(現在は常用漢字表)と人名用漢字別表にはいっている漢字と、平仮名、片仮名に制限されている。本書はその人名用漢字別表がどのように誕生し、変遷していったかを追った本である…

『「名前」の漢字学』 阿辻哲次 (青春新書)

→紀伊國屋書店で購入 日本では新しく生まれた子供に名前をつけるのに、使っていい字といけない字の別がある。役所に出生届を出そうとしたら、窓口でその字は使ってはいけないと突き返されたというような話は誰しも聞いたことがあるだろう。使いたい文字が使…

『ラッキーマン』マイケル・J・フォックス(入江真佐子訳)(ソフトバンクパブリッシング)

→紀伊國屋書店で購入 「喜劇俳優からストーリー・テラーへ」 著者のマイケル・J・フォックスは、テレビドラマ『ファミリー・タイズ』と映画『バック・トゥ・ザ・フューチャー』で大ヒットをとばした喜劇俳優です。その彼が、1998年11月、『ピープル』誌のイ…

『可能性としての歴史-越境する物語り理論』鹿島徹(岩波書店)

→紀伊國屋書店で購入 本書評は、早瀬晋三著『歴史空間としての海域を歩く』または『未来と対話する歴史』(ともに法政大学出版局、2008年)に所収されています。 タイトルの「可能性としての歴史」を見て、うれしくなった。しかし、サブタイトルの「越境する…

『東京大学「80年代地下文化論」講義』宮沢章夫(白夜書房)

→紀伊國屋書店で購入 [劇評家の作業日誌](20) 1980年代は「オタク」と「バブル」で括られようとしている。「80年代はスカだった」とは雑誌「宝島」の80年代特集のキャッチコピーだが、いずれも80年代をネガティヴに語る口調で共通している。軽薄な文化が…

『The Story of San Michele』Axel Munthe(John Murray)

→紀伊國屋書店で購入 今春、イタリア・カプリ島にあるサン・ミケーレ荘を訪れたのがきっかけである。言語を失わせるほどに美しすぎる場所は人を狂気に陥らせることもあるだろう。鷹や鳶が眼下を舞い、頭上を小鳥が飛び交い、花が咲き乱れた庭園は彫像に囲ま…

『兵たちの戦争-手紙・日記・体験記を読み解く』藤井忠俊(朝日新聞社)

→紀伊國屋書店で購入 本書評は、早瀬晋三著『歴史空間としての海域を歩く』または『未来と対話する歴史』(ともに法政大学出版局、2008年)に所収されています。 首相など国家指導者が靖国神社に参拝する、いわゆる「靖国問題」が起こったとき、はじめなぜや…

キーワードは「デトックス」!海外マガジンで最新の健康法をウォッチする

●年7回刊「YOGA JOURNAL」(アメリカ) ●年9回刊「HEALTH」(アメリカ) ●隔月刊「BODY & SOUL WHOLE LIVING」(アメリカ) 健康のためなら死んでもいい! 行き過ぎを皮肉ったこのフレーズも、今やもうすでに色あせるほど定着した感がある健康ブーム。ひと昔…

『小沢昭一的新宿末廣亭十夜』小沢昭一(講談社)

→紀伊國屋書店で購入 「末廣亭の奇跡」 新宿末廣亭は昭和二十一年に建てられた寄席である。中に入ると高座に向かって左右に細長い畳席があり、それに挟まれて椅子席が設けられている。2階もあるが1階が満員にならない限りは開いたことがない。何年か前まで…