書評空間::紀伊國屋書店 KINOKUNIYA::BOOKLOG

プロの読み手による書評ブログ

2008-01-15から1日間の記事一覧

第30位 『“民主”と“愛国”』 小熊英二

www.kinokuniya.co.jp 皆がよく分かったつもりになっていて、実はまったく分かっていないこと。小熊英二氏は『単一民族神話の起源』、『日本人の<境界>』などの著書によって、そのようなことを次々と明らかにしてきた。『<民主>と<愛国>』では「民主」や「愛…

番外編 『ドナウよ、静かに流れよ』 大崎善生

www.kinokuniya.co.jp 邦人カップルがドナウ川に入水自殺、男は33歳識者で女は19歳女子大生。このスキャンダラスにも聞こえる事件を覚えている人はいるだろうか。実際に起こった事件であり、2人の命が失われたのだから「面白い本」として推薦するのは適当で…

番外編 『こんな夜更けにバナナかよ―筋ジス・鹿野靖明とボランティアたち』 渡辺一史著

www.kinokuniya.co.jp 美談ではない。何せシカノはワガママだ。自分を「カリスマ」だと勘違いしているし、エロおやじだし。シカノは人工呼吸器をつけ24時間介助を受けて自立生活を営んでいる筋ジストロフィー者だ。ボランティアや有償の介助者たち離れていか…

番外編 『寺山修司名言集』 寺山修司

www.kinokuniya.co.jp 1983年、47歳の若さでこの世を去って20年。今なお強いイメージを多く持つ不思議な男。万華鏡のように美しく怪しい一冊。『マッチ擦る つかのま海に霧ふかし 身捨つるほどの祖国はありや』しびれます。〔松山店・徳光和子〕 →紀伊國屋書…

『芥川龍之介と腸詰め(ソーセージ)-「鼻」をめぐる明治・大正期のモノと性の文化誌』荒木正純(悠書館)

→紀伊國屋書店で購入 鼻で笑えない新歴史学の芥川論 副題を見ると「鼻」白むしかない(何をしようとしているか即わかってしまうからだ)が、メインタイトルを近刊案内で見た時には、あの怪物的大著『ホモ・テキステュアリス』の荒木氏がついに本気で「日本回…

『CSR 働く意味を問う』日経CSRプロジェクト編(日本経済新聞出版社)

→紀伊國屋書店で購入 本書評は、早瀬晋三著『歴史空間としての海域を歩く』または『未来と対話する歴史』(ともに法政大学出版局、2008年)に所収されています。 CSR(企業の社会的責任)レポートを、数十集めた。ここ数年、企業は積極的に営利とは直接結…