柿の種/寺田寅彦
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柿の種
寺田寅彦
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5/27/2013 17:59:52
文学部人文学科日本文学専修
2年生・男性
あなたが誰かに贈りたい本はありますか?その本の名前と著者名をお書きください。
柿の種/寺田寅彦
その本をどんな人に贈りたいですか?
文系の新入生に。
どんな内容の本ですか?簡単なあらすじや、設定などをお書きください。
物理学者であり、夏目漱石の弟子の一人であり、俳人であり、日本を代表する随想家でもあった寺田寅彦の、ちょっとした発見メモのような作品です。ちょっとしたおもしろさが鮮やかに掬いだされた、長くても二ページ程度の随想を思う存分に楽しむことができます。
あなたはその本と、どのようにして出会いましたか?
新聞のコラムに載っていた寺田寅彦の随想が気になり、まずとっつきやすそうなこの『柿の種』から手に取ったのがきっかけです。物理学者の視点から描き出された細やかで日常的で、かつ新鮮な風景は、いままでの文学と科学は相容れない、という僕の単純な概念を見事に打ち崩してしまいました。その感動は今でもこの本を読むとありありとよみがえってきます。
その本を受け取った人に、どのように思ってほしいですか?
科学の発展には文学が必要だし、文学の発展には科学が欠かせないのだ、ということを知ってほしいです。いま、文系と理系の隔絶がおおきくなり、興味のないこと(特に正反対の分野)には手を出さない、という方が増えているように思います。自分に直接関係のないことはやってもプラスにならないから、と。でもそれは違うと思うんです。どんなに関係なく見えても、学問は根っこのところでちゃんとつながっているんです。それに、人類が古くから受け継いできた遺産を前にして目をそむけるのは悲しいことです。もし文学と科学が溶け合えば、もっと素晴らしい可能性がたくさん生まれてくるはずなのに。僕はそのことを知ってほしい。でもその根拠をこの場所できちんと言葉にすることはまだうまくできません。僕はたくさんの方にこの本を読んでもらって、ここからそういうことを少しでも感じ取ってもらえたら、と願っています。