第1位『いちばんここに似合う人』ミランダ・ジュライ/岸本佐知子・訳
(新潮社/1,995円)
「さみしい」という孤独な四文字のことばに、嘘ややましさ、なにかごちゃごちゃとしたどぎつくカラフルなもの、たくさんの不純物を混ぜてこねると、この小説が生まれる気がします。もちろんその「さみしい」はとてもヘンな形をしているのですが、だからこそ愛おしく、大切だと思えるのです。
〔新宿本店・梅﨑実奈〕
洗面器で水泳を教える女性、玄関から27歩以上歩けない女性、この本に登場する人々は少し滑稽だけれど、愛すべき人々。彼らは人を愛しては孤独になる。でも、さめざめと嘆いたりしない。それぞれの、新たなひとりぼっちの場所を見つけてゆく。それは、間違いなく希望の場所なのだ。
〔本町店・萩本愛子〕