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『日本の昔話』おざわとしお再話 赤羽末吉画(福音館書店)

日本の昔話

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日本各地の昔話をこつこつと再話した昔話集。

その数なんと301話。

こどもたちに一日に一つずつ読んできかせてちょうどよい。

(一年に35日くらいはさぼりそうだし・・・)

第1巻から第5巻へ、春夏秋冬と季節が過ぎていく構成になっている。

この昔話は共通語(という言い方は抵抗があるが)で記録されているが、

本来はその土地の言葉によって語られ、伝えられてきたもの。

語り手から聞き取り、文字におこし、訳すのにも苦労がいっただろう。

実際にストーリーテーラーと呼ばれる人たちに読んでもらって、句読点などに配慮したそうだ。

昔話は、耳で聞かれてきた文化なので、耳に返して楽しんで、とコメントがついていたのが印象深い。

自分で読むためのものではなく、聞かせるための本なのである。

聞いてくれる相手のいるありがたさよ。

また、赤羽末吉氏の挿し絵がすばらしい。

「かさじぞう」「ももたろう」「スーホーの白い馬」を描いたといえは思い当たる人は多いのではないか。

この仕事が絶筆となったそうだ。

赤羽さんの最期の大仕事、と言っても過言ではないだろう。

一巻ごとに販売もされているようだが、とにかく全巻そろえて購入しておいて欲しい。

一生の中で、こういうすばらしい仕事をしてみたいものだ。

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