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『子どものことを子どもにきく』杉山亮(岩波書店)

子どものことを子どもにきく

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おもちゃ作家の杉山亮さんが、息子さんへのインタビューを続けた記録。

それも8年間!

とにかく淡々と、正直にづづられている。子どもって、大人の小さいの、ではないなぁ。

「コドモ」っていう生き物だな

とつくづく思う。

いつから「オトナ」になっちゃうんだろう。

子どもはことばを持たずに産まれてくるから、ことばを得た瞬間に、何かを失ってしまうのではないか、と杉山さんは言う。

「こどばを得ることで終わってしまった何か」

自分の子どもが失ったものを感じようとする杉山さんの感性にドキっとした。

今、パソコンをたたいている私の後ろにも、黙々と本を読みふける小学校2年男子が、いる。

こないだまで絵本をにやにやながめていた息子が、挿し絵がちょっとしかない活字だらけの本にかじりついて、違う世界へ行ってしまっている。無性にさびしくなって、こっちの世界へ呼び戻す。

「ほら、もう寝る支度しなさいよ!」

私も、今度インタビューを申し込んでみようかな。