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『デジタル社会の編成原理-国家・市場・NPO 』(NTT出版)

デジタル社会の編成原理

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  ネットワークはその上でサービスが稼働してはじめてユーザに利用してもらえる。通信が繋がっただけで欣喜雀躍できるのは、パソコンおたくとネットワーク屋だけである。それをベースにWebやメールのシステムが稼働し、そこにお客さんがつく。当たり前のことなのだが、これを理解できないネットワークエンジニアは未だ多数生存する。同じ社内でも情報システム部門とユーザ部門の仲が悪いのは、多くこうしたSEの生態に起因する。

 「デジタル社会の編成原理」は、さらに話が大きくなってデジタル社会そのものを想定した議論を展開している書籍である。そも「デジタル社会」とは何なのか?そこでは誰がイニシアティブを取って、誰のためにネットワークを構築していくのか? これだけを聞くと、日常業務とは乖離した世界を垣間見する印象を受けるが、実は視点がマクロかミクロかの違いであって、議論の本質に変わりはない。本書を次世代ネットワーク社会構築への最新研究と捉えてもよいし、社内で使える事例集と捉えてもよい。読み方を決めるのは読者の権利であるし、それが読書の醍醐味というものだろう。

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