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『外国生まれの童謡の謎』合田道人(祥伝社)

外国生まれの童謡の謎

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音楽関係の本には一般の人にとってチンプンカンプンなものもたくさんあるが、この本は日本人なら誰でも「ほうほう、そうだったのか」と気楽に読める。


まず本の題名を見たとき、童謡に謎なんてあるのだろうか?と半信半疑でパラパラとページをめくってみて驚いた。「クラリネットこわしちゃった」に出てくる「オパキャマラド」とは何か?とか、「おおブレネリ」で住まいを尋ねられてどうしていきなり国名を答えちゃうのか?とか、そういえばわからない事がたくさんあるではないか。私のように性質の悪いあげ足取りの人間が、今までこのような疑問を平然と放置してきたのはちょっとした不覚だったが、謎自体に気づいていなかったのだからどうしようもない。

子供というのは純粋なものだからなんでも受け入れてしまう。(私だって子供の頃は純粋だったのだ。)だから子供が歌う童謡の歌詞に、矛盾点や意味不明な部分があってもそのまま飲み込んでしまう。そういう、うっかり味わわずに飲み込んでしまった歌を胃の中から引っ張り出して目の前にさらけ出してくれて、もう一度味わい直させてくれるのがこの本だ。全くこの本にかかると自分が牛になったようだ。

著者のプロフィールを見ると、シンガーソングライターとしてデビューした後、音楽番組の構成演出などを手がけ、CDの監修や解説、司会までこなしている。そのマルチ人間ぶりからも雑学博士であることは間違えないだろう。「案外知らずに歌っていた童謡の謎」(2002年刊)という本を書いて以来、童謡の謎をテーマに何冊もの著作がある。重厚な内容でないとはいえよくネタが尽きないものだと思う。仕事や勉強に疲れたとき、漫画や週刊誌を読む感覚で息抜きをしながら物知りになれる本だ。

コレを読んで、宴会の時にちょっとしたモノシリ君として、話題の中心になろうではないか。


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