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プロの読み手による書評ブログ

『Once upon a Secret』Mimi Alford(Random House)

Once upon a Secret

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「19歳でケネディ大統領の愛人となった少女の自伝」


 今回読んだのは19歳から、ケネディ大統領が暗殺されるまで彼と性的関係を持ったミミ・アルフォードの自伝。

 彼女は、ミス・ポーター校(コネチカット州の名門プレップ・スクール)の校内新聞編集長だった時、ホワイトハウスにジャクリーン・ケネディへのインタビューを申し込む。ジャクリーンもミス・ポーター校出身で、その繋がりでインタビューができると期待したのだ。

 インタビューは断られるが、次の夏、大学生となった彼女はホワイトハウスのプレス・オフィスのインターンとしての誘いを受ける。

 どんな仕事をするかよりも、どんな服を着てホワイトハウスで初日を迎えるかを気にして、1962年の夏、彼女はワシントンDCに向かう。

 そして、インターンを始めてかわずか4日で、彼女はケネディ大統領とセックスをする。彼女はバージンで、それまでボーイフレンドと呼べる男性もいなかった。

 性的、感情的にまだ未熟な19歳の最初の相手が、男性的優雅さと輝きを持ったジャック・ケネディだったらどうなるのか。これは、もう火を見るよりも明らかだ。その夏のインターンが終わり、彼女が大学に戻っても彼女とケネディ大統領との関係は続く。

 彼女はホワイトハウスにあるプールでケネディの取り巻きと遊び、大統領執務室でケネディの髪を直し、ホワイトハウスのメインハウスで密会をし、大統領専用機エアフォース・ワンヨセミテ公園、ロサンゼルス、パームスプリング、フロリダ、バハマなどに飛びケネディと一緒の時を過ごす。パームスプリングでは、ケネディが宿泊場所として使っていた歌手のビング・クロスビーの家でケネディと会っている。

 これらの場所へケネディはイギリスの首相などに会う公務として出かけている。つまり、ジャクリーンが一緒でない公務の旅にケネディは彼女を連れて行ったのだ。大学の寮の前までリムジンを送り、そこから荷物などは彼女の宿泊先の部屋まで直接届けられた。

 この間にケネディ政権は、キューバ危機を迎え、ベルリン危機を迎えている。彼女はキューバ危機の際にケネディのいつもとは違った様子を感じるが、大統領が国防長官ロバート・マクナマラや国家安全保障担当大統領補佐官マクジョージ・バンディと会議をしている時、ホワイトハウスの2階にあるベッドルームの柔らかい毛布のなかですやすやと眠っていた。また、ドイツ危機の時には、ケネディと一緒にベルリンにいけなかったことを残念に思っていた。

 しかし、ケネディとの未来はないと感じていた彼女は大学2年のときにウィリアム・カレッジに通う青年トニーに出会い、その8カ月後に婚約をする。

 彼女が最後にケネディ大統領と会ったのはニューヨークのカーライル・ホテルだった。ケネディ家はカーライル・ホテルの最上階にデュープレックスを所有している。それが63年の11月15日。そして、ジャクリーンと共に遊説にでかけたケネディは、11月22日ダラスで暗殺されてしまう。

 1月に結婚を控えていたミミは、衝撃のなかトニーに自分とケネディの仲を告白する。トニーは悩んだ末に結婚をすることを決意する。

 それからの離婚、再婚、そしてこの本を書くきっかけとなったデイリー・ニュース紙の記事のことなどが、その後の物語として書かれている。

 この本を読む限り、彼女は普通の東部の良家子女の一員だった。しかし、ケネディとの出会いによってその人生が大きく変わってしまった。ケネディの男としての暗い、冷酷な面も語りながら、彼女は自分の人生を振り返っている。


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