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『Pendragon: The Lost City of Faar 』 D. J. Machale(Turtleback Books)

Pendragon: The Lost City of Faar

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「幻想的な世界で展開されるスリルに満ちた物語」

ニューヨークに春が来て、僕のアパートの前の通りにあるカフェやレストランは、店先にテーブルを出し、昼間から賑わっている。通りを歩く人や、通りで立ち話をする人も多くなってきた。そしてなにより、公園のプレーグラウンドで遊ぶ子供の姿が増えた。

そんな訳で、今回は子供も大人も楽しめるSFファンタジー『Pendragon』を読んでみた。この作品はシリーズ物で、僕の読んだのは前作『Pendragon:The Merchant of Death(邦題:ペンドラゴン−死の商人)』に続く「Pendragon: The Lost City of Faar」だ。


主人公は第二地球に住んでいる14歳のボビー少年。ボビー少年のいる世界は、異なる時間と異なる空間をもつ10のテリトリィに分かれている。

このテリトリィを自由に行き来できるのは「トラベラー」と呼ばれる選ばれた者たちだけだ。 

各テリトリィには代々伝わるトラベラーが存在し、第二地球からのトラベラーは、まだトラベラーとしては新米のボビー少年と、ボビー少年を導くプレスおじさんのふたりだ。
 

そしてテリトリィの崩壊をもくろみ、最終的には世界のすべての秩序をつかさどる「ハッラ」を破壊しようとするのが悪者セイント・デイン。セイント・デインもテリトリィを自由に行き来できるトラベラーだ。つまりこの物語は(第2作目までは)、善玉のトラベラーたちと、悪者のセイント・デインが各テリトリィを舞台に、戦いを繰り広げるストリーとなっている。

今回、ボビー少年たちは水の王国クローラルを訪れる。

クローラルはすべてが水で覆われた世界で、住人は水に浮かぶ居住地に暮らしている。このクローラルにはその昔、大地が存在しそこにファーという都市があったという伝説が残っていた。

ボビー少年たちよりひとあし先にクローラルに侵入したセイント・デインは食料を毒性のあるもの変化させ食料難を招き、ひいては食料をめぐっての争いを招いてクローラルの秩序を崩壊させようとしていた。



この陰謀をくいとめるようとしているうちに、ボビー少年たちは伝説の都市ファーが水の下に存在していることを発見する。そして、セイント・デインの最終的なたくらみは、クローラルの秩序崩壊だけではなくファーの破壊にあるとボビー少年たちは知る。


素早い展開と、ボビー少年たちを次々と襲う危機。物語は第二地球に住む、ボビー少年の友人ふたりが、ボビー少年から次元を超えて送られてくる手紙を読むという形で進められていく。幻想的な世界とスリルに満ちた物語は大人も十分に楽しめるものだった。


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