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プロの読み手による書評ブログ

2007-07-13から1日間の記事一覧

『先生とわたし』四方田犬彦(新潮社)

→紀伊國屋書店で購入 「怒る読者」 この本を読んで怒っている人が結構いるそうである。理由は、少しずつ違うらしい。でも、読まされてしまったら負けだよな、という本でもある。何しろ、すごい筆力なのだ。 本書は由良君美という英文学者を扱った評伝である…

『自然の占有-ミュージアム、蒐集、そして初期近代イタリアの科学文化』 ポーラ・フィンドレン[著] 伊藤博明、石井朗[訳] (ありな書房)

→紀伊國屋書店で購入 英語でキルヒャー 「驚異の部屋」は基本的に珍物(curiosities)蒐集に凝りあげる好奇心の問題だから、研究書は自ずからカラー図版満載の美麗書となる。かつて平凡社の記念出版で、ほとんどコスト無視してエリーザベト・シャイヒャーの…

『ドラキュラの遺言――ソフトウェアなど存在しない』フリードリヒ キットラー(産業図書)

→紀伊國屋書店で購入 ●「デジタル時代のエクリチュール」 ブラム・ストーカー作の小説『ドラキュラ』への言及から始まる評論集。数々の評論を一貫する問題設定は、メディア環境における「人間」や「知」のあり方だ。著者はキットラー。これまで、情報技術と…