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プロの読み手による書評ブログ

2008-06-09から1日間の記事一覧

『無名』沢木耕太郎(幻冬舎)

→紀伊國屋書店で購入 「現実と虚構における殺害の必然」 どうした風の吹きまわしか、近頃のわたしは実話に惹かれるようだ。たとえば『無名』がそうであるように、個人的事実をもとに描かれた随筆や、その事実に若干の虚構を施したような小説にこころの癖が向…

『ベケット巡礼』堀真理子(三省堂)

→紀伊國屋書店で購入 [劇評家の作業日誌](37) 演劇とは旅に似ている。あるいは旅こそが演劇のメタファーなのかもしれない。人々は冒険の旅に出る。そこで出会った者たちと対立が起こり、決定的な行為がなされ、劇が生れる。これがいつに変わらぬ演劇の原型…