書評空間::紀伊國屋書店 KINOKUNIYA::BOOKLOG

プロの読み手による書評ブログ

2008-06-26から1日間の記事一覧

『漱石の思い出』夏目鏡子述・松岡譲筆録(文春文庫)

→紀伊國屋書店で購入 「悪妻伝説」 漱石の私生活を扱う本はいつも人気が高い。その多くがタネ本にしているのが本書である。語り手は未亡人の夏目鏡子。娘婿の松岡譲による筆録なのだが、鏡子の落語みたいな語り口が実に雄弁で、ほとんど芸の域に達している。…

『わたしのリハビリ闘争――最弱者の生存権は守られたか』多田富雄(青土社)

→紀伊國屋書店で購入 「翻弄される「リハビリテーション」」 著者の多田富雄さんは、1971年の「サプレッサーT細胞」の発見で有名な免疫学者です。2001年5月、旅先の金沢で、脳梗塞の発作が彼を襲います。右半身麻痺の他に、重度の嚥下障害(「えんげしょう…

『旅の仲間 澁澤龍彦/堀内誠一往復書簡』澁澤龍彦・堀内誠一【著】・巖谷國士【編】(晶文社)

→紀伊國屋書店で購入 「「SEC」なふたり」 「アンアン」の創刊当初のエピソードが綴られた赤木洋一『「アンアン」1970』(平凡社)。アートディレクターだった堀内誠一の手によって創刊号の巻頭を飾ったカバーストーリーのための、パリでの撮影隊の様子など…