書評空間::紀伊國屋書店 KINOKUNIYA::BOOKLOG

プロの読み手による書評ブログ

2009-09-24から1日間の記事一覧

『検証 本能寺の変』 谷口克広 (吉川弘文館)

→紀伊國屋書店で購入 『本能寺の変 光秀の野望と勝算』で藤本正行・鈴木眞哉の『信長は謀略で殺されたのか』と並べて評価されていたので読んでみたが、独自の見解を打ちだした本ではなく、これまでの本能寺の変研究を紹介したレビュー本だった。新書判の倍の…

『漱石の夏やすみ』高島俊男著(ちくま文庫)

→紀伊國屋書店で購入 「闊達な漱石」 漱石というとノイローゼとか胃弱とか、病気のイメージがつきまといがちだ。しかし、この本に出てくる漱石は快活で闊達な青年である。それはもう従来の漱石像を覆すほどだ。 夏目漱石は第一高等中学校時代の夏やすみに、…

『ブラジル紀行』板垣真理子(ブルース・インターアクションズ)

→紀伊國屋書店で購入 「ブラジルのアフリカン・カルチャーの源を探る」 しょっちゅう旅をしていると思われているらしく、行ってない国はありますか、などと訊かれることがある。とんでもない。地球上のほんのわずかな場所しか知らない。インド、アフリカ、中…

『八月の路上に捨てる』伊藤たかみ(文春文庫)

→紀伊國屋書店で購入 「何を捨てるのか?」 パリはすっかり秋模様だ。10時過ぎまで明るかった夜も、どんどん闇の迫る時が早まってくる。南国が好きな人達には、これからが長く鬱陶しい冬の始まりになるだろう。北国生まれの私は、長い夜がそれ程苦ではない。…