書評空間::紀伊國屋書店 KINOKUNIYA::BOOKLOG

プロの読み手による書評ブログ

2010-03-08から1日間の記事一覧

『存在と無〈1〉現象学的存在論の試み』サルトル,ジャン=ポール(筑摩書房 )

→紀伊國屋書店で購入 「手軽に文庫で読めるようになったサルトルの主著」 サルトルの大著『存在と無』が文庫化されたのをきっかけとして読み直してみた。小説のように楽しめる本であり、三巻の最後の用語集なども、理解を深めるために役立つ。思えばベルクソ…

『ハルーンとお話の海』サルマン・ラシュディ(国書刊行会)

→紀伊國屋書店で購入 「物語る力を解放せよ!」 今回取り上げる選手はインド代表の『ハルーンとお話の海』。著者は二十世紀を騒がせた本として有名な『悪魔の詩』を書いたサルマン・ラシュディである。外国文学を多少なりとも好きな人は知っていると思うが、…

『大人のための国語教科書 ― あの名作の〝アブない〟読み方!―』小森陽一(角川書店)

→紀伊國屋書店で購入 「国語を去勢する」 なかなか読みでのある新書である。思わず線を引いたりコメントを書きこんだりしてしまう。取り上げられるのは、漱石の『こころ』、鴎外の『舞姫』、芥川の「羅生門」など国語教科書の〝定番〟。これらが高校国語教育…