書評空間::紀伊國屋書店 KINOKUNIYA::BOOKLOG

プロの読み手による書評ブログ

2010-03-22から1日間の記事一覧

『マキァヴェリアン・モーメント―フィレンツェの政治思想と大西洋圏の共和主義の伝統』ポーコック,ジョン・G.A(名古屋大学出版会)

→紀伊國屋書店で購入 「政治思想史の必読書の待望の翻訳」 本書は、政治思想史の分野で長らく注目されてきた書物であるが、大冊なために翻訳がなかなか刊行されていなかった。ぼくもこれまで英語で読んできたが、多くの読者とともに、日本語で読めるようにな…

『四十日と四十夜のメルヘン』青木淳悟(新潮社)

→紀伊國屋書店で購入 「記録が記憶となるまで」 青木淳悟は2003年に新潮新人賞を表題作で受賞した現代日本作家である。現代を生きながら同時にその現代を掴むというのはなかなか難しいことだが、小説を同時代的に読むということは、読みながらその時代性を身…

『namesake』 Jhumpa Lahiri(Mariner Books)

→紀伊國屋書店で購入 もう随分長くアメリカに暮らしているが、80年代のある1年間だけ、僕はタカシ・ハタではなくスティーブ・ハタだった。ちょうどアメリカの弁護士事務所のリストを作る仕事をしていて、沢山の弁護士事務所から資料を貰わなければならな…

『吉本隆明自著を語る』(ロッキング・オン)

→紀伊國屋書店で購入 「吉本隆明が分る!」 吉本隆明の『共同幻想論』を高校3年生の授業で扱ったのは、もう20年近い前の事である。もちろん、中々大変だったが、一部の生徒は夢中になって読んでいた。何か自分が今まで出会ったことのない考えと出会うのは魅…