書評空間::紀伊國屋書店 KINOKUNIYA::BOOKLOG

プロの読み手による書評ブログ

2011-04-01から1日間の記事一覧

開会宣言

「文学博覧会 ぶんぱく'11」開会宣言 文学博覧会。それは我々人類の、言葉の軌跡と滾々と湧き出る想像力の可能性とを一堂に集結させた、果てない空間である。言葉を獲得した人類は、言葉によって歓び、怒り、悲しみ、闘い、慰められてきた。しかし一方では、…

『ポスターを貼って生きてきた―就職もせず何も考えない作戦で人に馬鹿にされても平気で生きていく論』笹目浩之(PARCO出版)

→紀伊國屋書店で購入 「<劇評家の作業日誌>(54)」 おもしろい人間がいたものだ。“おもしろい”という言い方が乱暴なら、“よくぞこんな風に生きてきた人間がいたものだ”と言い換えてもいい。誰も考えもしなかったことを思いつき、後先考えず大胆に実行し…

『歌う国民 唱歌、校歌、うたごえ』渡辺裕(中公新書)

→紀伊國屋書店で購入 小学校の入学式の日、教室で「みんなのうた」という新書本ほどのサイズのオレンジ色の本を配られた。それまでには手にしたことのない、小ぶりで文字も小さな本だったので、とても大人っぽいものに思えてうれしかったのをおぼえている。 …

『都市の歴史的形成と文化創造力』大阪市立大学都市文化研究センター編(清文堂)

→紀伊國屋書店で購入 今日は、4月1日である。多少のおふざけは許されるようだが、悪い冗談はやめたほうがいい。これから書くことは冗談ではないのだが、人によっては「悪い冗談はやめてくれ!」と歴史教育に不信を感じる人がいるかもしれない。すくなくとも…

『ビリジアン』柴崎友香(毎日新聞社)

→紀伊國屋書店で購入 「口の中がざらざらする小説」 夕陽と川べりと工場街を背景にした静かな世界である。だが、癒し系とも違う。セピア色の〝昭和〟な感傷にひたりたくなるが、それも違う。どこかピリピリしたものがある。 『ビリジアン』は掌編を20ほど…