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プロの読み手による書評ブログ

2011-12-25から1日間の記事一覧

『装幀のなかの絵 四月と十月文庫』有山達也(港の人)

→紀伊國屋書店で購入 口絵には、著者の祖母による一枚の絵。生まれ育った五島列島の風景を思い出して描いたものらしい。波間に浮かぶ緑の小島。遠くの水平線の沿って島の稜線が連なる。画面右下の岩場の上、海に向かって腰掛けているのは幼い日の祖母の姿だ…

『時刻表世界史―時代を読み解く陸海空143路線』曽我誉旨生(社会評論社)

→紀伊國屋書店で購入 「時刻表を読むのが100倍楽しくなる本」 ひところまで、この世で一番面白い本とは時刻表のことだと思っていた。実は今でも、その考えは変わっておらず、このブログでも、お気に入りの時刻表のいくつかを(○○年○月号の、というように)書…

『日米衝突の根源』渡辺惣樹(草思社)

→紀伊國屋書店で購入 二年前にもこのブログで同じ著者による『日本開国』を紹介したが、その後も継続して行われた地道なリサーチの成果がふんだんに盛り込まれた力作が上梓された。本書には1858年から1908年に至る時代──日本における明治時代──のアメリカ国…

『趣味縁からはじまる社会参加』浅野智彦(岩波書店)

→紀伊國屋書店で購入 「中間集団論を日本社会でいかに考えるべきか」 中間集団論と呼ばれる議論がある。中間集団とは、アメリカの政治社会学者コーンハウザーが『大衆社会の政治』などで用いている概念である。 平たく言えば、個人と全体社会を媒介する集団…