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プロの読み手による書評ブログ

2012-10-09から1日間の記事一覧

『森敦との時間』森富子(集英社)

→紀伊國屋書店で購入 「これというものをひとつ書けばいい」 森敦は、その実人生の「物語」で知られた人である。作家を志して旧制一高を中退、菊池寛や横光利一の推挙で若くして文壇デビュー。太宰治をはじめ当時の花形作家とも交わり、22歳にして『東京日…

『原発アウトロー青春白書』久田将義(ミリオン出版)

→紀伊國屋書店で購入 「原発作業員の証言」 「福島」は「Fukushima」になってしまった。1945年に「広島」や「長崎」が「Hiroshima」、「Nagasaki」になったように。今も世界中が「Fukushima」に注目している。だが私たち日本人は何を通して「福島」を見てい…

『北一輝-もう一つの「明治国家」を求めて』清水元(日本経済評論社)

→紀伊國屋書店で購入 本書は、1983年に発足した日本経済思想史研究会が世に問うシリーズ「評伝・日本の経済思想」の1冊である。このシリーズには、柳田国男など、一見、経済思想とは無縁であるかのようにみえる人物も含まれている。革命思想家として知られる…

『老眼鏡』句・加藤静子 文・甘糟幸子、甘糟りり子(神無書房)

→紀伊國屋書店で購入 「今日の日を、ため息をつくように詠んで眠りたい」 姉の加藤静子さんが詠む句に、忘れていた記憶をいくつも呼び起こされた甘糟幸子さんが、あるとき、アルバムの代わりに句集を作ってはどうかと思う。自分の楽しみで作っているだけ、ひ…