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POP工房『君に書かずにはいられない ひとりの女性に届いた400通の恋文』(中丸美繪,白水社)

君に書かずにはいられない ひとりの女性に届いた400通の恋文

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僕はあらゆる表現形式の中で、手紙という手法が一等好きだ。手紙というのは、フィクションとノンフィクションのせめぎ合い、相手のことを慮ればこその全身全霊の文章表現! という醍醐味がなんとも魅力的なのだけれど、当然、他人様のこんな大事な遣り取りにはめったにお目にかかれない。


がしかし、それが本になってしまった。僕はもちろんちょっと、そわそわなんかして頁を捲っていたのだが、端々にほとばしる情熱が実に冴え冴えとした表現に託されているのを読んで、何度も姿勢を正したほどだった。昭和初年に書かれたこの恋文。紙はきっと色褪せてしまったに違いない。けれど、二人の息遣いは今なお、美しく届いてくる。【新宿南店・勇 作店頭POPより】

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