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プロの読み手による書評ブログ

POP工房『俺が近所の公園でリフティングしていたら』(矢田容生、小学館)

俺が近所の公園でリフティングしていたら

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当店が本書を読んで感想を小学館に送り、返ってきた返事がこちらです。



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Subject:Re:●●さん ありがとうございます。

Date:Mon.20 Feb 2006

 

●●さま

楽しんで頂けたのなら幸いです。

私も「電車男より泣ける!」には興ざめし、「どーせたいした作品じゃないだろー」くらいの気持ちで読みはじめました。最初はタイトルの不自然さ、そして書き出しの拙さ、なにより実在の人物を多数登場させて状況に臨場感を持たせるという手法に、若干疑問をいだきました。

しかし●●さんも指摘しているとおり、試合中の描写の細かさ、臨場感。今まで読んだことのない迫力を感じました。今まで読んできたスポーツものの小説の中でもこれほどまでの文章は読んだことがありません。なにか沢木耕太郎のスポーツ・ノンフィクションに通ずるものを感じ、ちょっと驚きでした。

これに反して試合以外の部分の描写とのギャップがかなり感じられましたが、それも物語が進むうちに段々と巧みになってきて、なんの違和感も感じなくなっていました。書き進むうちに進化している感じなのかな。

感動した部分はまさに●●さんと同じ場所。不覚にも鼻の奥がツーンとしてしまいました。ベタな話だけどこういうネタに男は弱いものですね。ラストはうまくオチをつけていていいですよね、気障な感じだけど…。

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決して後悔することのない作品ですので、ぜひお読みください。

【本町店・どど×小学館・荒井氏作店頭POPより】

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