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プロの読み手による書評ブログ

新宿南店仕入だより~4月(『日米交換船』ほか)

例)ダーウィン的方法 - 運動からアフォーダンスへ

【登場する新刊】----------------------------------------


昭和史 戦後篇 1945-1989』(半藤一利平凡社

散るぞ悲しき 硫黄島総指揮官・栗林忠道』(梯久美子、新潮社)

白洲次郎 占領を背負った男』(北康利、講談社

日米交換船』(鶴見俊輔加藤典洋黒川創、新潮社)

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4月19日(火)

今朝の朝刊の広告に『昭和史・戦後篇』が大きく掲載された。前作に続き、ベストセラーの手ごたえ十分の売行き。最近では、日本の近現代史の見直しに伴って、関係する新刊ラッシュが続く。書店における「歴史書」の棚の枠組みの中で、近現代史があふれ、ノンフィクション・政治・戦記など関連ジャンルとの棲み分けが必要になっている。

どの棚にどこまで置くかは、なかなか難しい。例えば、今月発表された大矢壮一ノンフィクション賞受賞作『散るぞ悲しき』(硫黄島の戦いの指揮官・栗林忠道の人生を描いた傑作)は、新宿南店の場合、文芸売場の「戦記ノンフィクション」棚に展開している。NHK番組放映がきっかけで、ふたたび売れ出した『白洲次郎 占領を背負った男』は、「政治」の棚。同じ日本近現代史ではあるが、担当者同士の判断で、棚を分けているのが現状。

そんななかで、最近出た新刊『日米交換船』は、入荷した途端に売場の複数の担当者からの反応がすこぶる良い。480頁という重厚な本にもかかわらず、ノンフィクション・男性文学、哲学、歴史の4ジャンルでの展開。内容や著者の関係するすべてのジャンルに平積みするぜいたくな売り方に。

今後、各紙書評でも紹介されることを楽しみに待ちながら、手書きPOPつきの平積みを眺める今日このごろである。

【新宿南店仕入担当・二宮】