書評空間::紀伊國屋書店 KINOKUNIYA::BOOKLOG

プロの読み手による書評ブログ

復刊候補一覧① 《哲学・思想・言語・宗教》

哲学・思想・言語・宗教

1

岩波書店

随眠の哲学

山内得立

初版1993・最終版1993年◆A5判◆266頁◆予価5145円(本体4900円)

仏教語「随眠」から出発して存在の根拠の問題に肉薄してゆく著者の思索は、その死によって中断された。著者最後の思索の跡を示す遺著。

2

岩波書店

林達夫とその時代

渡邊一民

初版1988・最終版1989年◆四六判◆372頁◆予価3465円(本体3300円)

林達夫とはなにか。日本の知的風土の中でひときわ異彩を放ち、ときに激越なまでの振幅を見せる林達夫の深く入り組んだ精神の軌跡を描いた力作。

3

岩波書店

仏教-言葉の思想史

末木文美士

初版1996・最終版1996年◆A5判◆316頁◆予価6825円(本体6500円)

日本仏教で重視される用語・概念をインド・中国の原典にさかのぼって精細に検証し、仏教思想の受容と変遷の様態を明らかにする。

4

岩波書店

〈個〉の誕生 キリスト教教理をつくった人びと

坂口ふみ

初版1996・最終版2007年◆A5判◆320頁◆予価7875円(本体7500円)

古代から中世へ、一大転換期を舞台にした思想のドラマ-ローマ帝国末期、ビザンツ初期のキリスト教教義論争史を読む。

5

紀伊國屋書店

時間と空間の哲学

イアン・ヒンクフス/村上陽一郎、熊倉功二訳

初版1979・最終版2002年◆四六判◆288頁◆予価2940円(本体2800円)

物質は空間に存在し、時間を通じて持続する。それでは空間とは何で、時間とどう違うのか――この問いに答えた、分析哲学的なアプローチとして格好の解説書。

6

紀伊國屋書店

デカルトの著作と体系

ジュヌヴィエーヴ・ロディス - レヴィス/小林道夫、川添信介訳

初版1990・最終版1990年◆四六判◆528頁◆予価6300円(本体6000円)

デカルトの思想形成の過程とその哲学体系の全体とを包括的に論述した、フランスにおけるデカルト研究の第一人者による、比類なき一冊。

7

紀伊國屋書店

覚醒への戦い

コリン・ウィルソン/鈴木建三、君島邦守訳

初版1981・最終版1987年◆四六判◆186頁◆予価2310円(本体2200円)

「20世紀の偉大なる精神の一人」と評するほどにその出会いの当初から心酔したロシアの思想家・グルジェフの全体像に、ウィルソン自らが迫った一冊。

8

紀伊國屋書店

破壊 人間性の解剖

エーリッヒ・フロム/作田啓一、佐野哲郎訳

初版1975・最終版2001年◆四六判◆852頁◆予価9030円(本体8600円)

人間の歴史は暴力と残酷の記録で満ちている。『自由からの逃走』以来、フロムが一貫して追究してきた、人間独自の破壊性についての総括ともいえる大著。

9

紀伊國屋書店

大衆運動

エリック・ホッファー高根正昭

初版1961・最終版2006年◆四六判◆208頁◆予価2520円(本体2400円)

宗教運動、ナチズム、共産主義ナショナリズム……大衆運動に共通の性質をあぶりだし、そのダイナミズムを描ききる、「沖仲仕の哲学者」の処女作にして主著。

10

勁草書房

理由と人格

D.パーフィット森村進

初版1998・最終版2004年◆A5判◆800頁◆予価10500円(本体10000円)

人格の同一性、道徳性、合理性などにまつわる私たちの奥深い信念を揺るがす、現代倫理学からの挑戦。20世紀後半の最も重要な哲学書。

11

勁草書房

真理という謎

M.ダメット/藤田晋吾

初版1986・最終版2004年◆四六判◆430頁◆予価5250円(本体5000円)

直観主義をモデルにした反実在論のプログラムをかかげ、現代哲学の最前線を領導するダメット。「実在論反実在論」の論理的定式化に関わる作品を中心に12篇を収録。

12

勁草書房

人間的な合理性の哲学

伊藤邦武

初版1997・最終版1997年◆四六判◆400頁◆予価4830円(本体4600円)

現代の合理的意思決定理論の基礎にある哲学的洞察や論理的工夫とはどんなものだろうか。パスカル以来の歴史的展開と現在の論争点という二つの視点から整理する。

13

東京大学出版会

カントからヘーゲルへ(UP選書174)

岩崎武雄

初版1977・最終版1998年◆四六判◆270頁◆予価3360円(本体3200円)

カントの批判哲学から、フィヒテシェリングをへてヘーゲルの哲学体系までドイツ観念論を平明に解説した、スタンダードな入門書。

14

東京大学出版会

テクノコードの誕生 コミュニケーション学序説

ヴィレム・フルッサー村上淳一

初版1997・最終版1997年◆四六判◆320頁◆予価4410円(本体4200円)

文字文化終焉後のコミュニケーションを人間の側にとり戻すための思想の企て。

15

白水社

異化 Ⅰ ヤヌスの諸像 Ⅱ ゲオグラフィカ

エルンスト・ブロッホ/船戸満之ほか訳

初版1986・最終版1997年◆A5判◆430頁◆予価7770円(本体7400円)

ベルリン、パリ、ヴェネツィア、アルプス、道化、探偵小説、蚤の市──多彩なテーマの相貌を一変させる魔笛エッセイの神髄47篇。

16

白水社

医神アスクレピオス 生と死をめぐる神話の旅

カール・ケレーニイ/岡田素之訳

初版1997・最終版1997年◆四六判◆172頁◆予価2940円(本体2800円)

医術とは自らの傷に苦しむことで得た治療知識に他ならない──ヒポクラテスの始祖神、アスクレピオスの根源像を神話学の巨人が解明する。

17

法政大学出版局

戦争論 われわれの内に潜む女神ベローナ

ロジェ・カイヨワ秋枝茂夫

初版1974・最終版2002年◆四六判◆304頁◆予価3360円(本体3200円)

ユネスコ国際平和文学賞受賞 戦争の理論を国家の発達との関連から追究。戦争礼賛の信仰を探り、この根元的諸力からの人間回復は何かを提示する。

18

法政大学出版局

十八世紀社会主義

アンドレ・リシュタンベルジェ/野沢協訳・解説

初版1981・最終版1981年◆A5判◆774頁◆予価18900円(本体18000円)

フランス大革命前の作品群から発掘蒐集し考察した〈十八世紀思想史〉の辞書的基本文献。社会主義の思想的源流と原初的パトスを浮彫りにする。

19

法政大学出版局

イェーナ体系構想 精神哲学草稿 I(1803-04)精神哲学草稿 II(1805-06)

ゲオルク・ヴィルヘルム・フリードリヒ・ヘーゲル加藤尚武監訳・座小田豊他訳

初版1999・最終版1999年◆A5判◆290頁◆予価6825円(本体6500円)

イェーナ大学講義のうち「精神哲学」講義草稿初の完訳。ヘーゲルが自ら抹消した草稿部分を復元しつつ、ヘーゲルの思索の苦闘のドラマを蘇らせる。

20

法政大学出版局

言葉と世界 ヴィルヘルム・フォン・フンボルト研究

亀山健吉

初版2000・最終版2000年◆A5判◆258頁◆予価5775円(本体5500円)

生涯と活動、ヤーコプ等との学的交流、日本語研究等フンボルト言語論の核心に迫るテーマを未刊の書簡や草稿を発掘・駆使して解明する研究の集大成。

21

法政大学出版局

存在と時間』講義 統合的解釈の試み

ジャン・グレーシュ/杉村靖彦他訳

初版2007・最終版2007年◆A5判◆676頁◆予価15750円(本体15000円)

ガダマーやリクールの流れを汲む解釈学的現象学の立場から『存在と時間』とその「作業場」の姿を鮮やかに浮かび上がらせた画期的な注釈書。

22

法政大学出版局

沖縄の言語史

外間守善

初版1971・最終版1982年◆四六判◆309頁◆予価5250円(本体5000円)

日本祖語を基層に持ちつつ琉球方言はいかに変化してきたか。古代から現在に至るその変遷を辿りつつ、沖縄の社会的変動をもあとづける。

23

みすず書房

実体概念と関数概念

エルンスト・カッシーラー山本義隆

初版1979・最終版2004年◆A5判◆488頁◆予価6300円(本体6000円)

〈実体〉から〈関数〉へ。数学・自然科学的思惟構造の形成を概念の発展として把握。『シンボル形式の哲学』へと結実する独自の立場を確立した書。

24

みすず書房

カイエ 1

シモーヌ・ヴェーユ/山崎庸一郎、原田佳彦、田辺保、川口光治、冨原眞弓訳

初版1998・最終版1998年◆四六判◆496頁◆予価7980円(本体7600円)

カイエ 2

初版1993・最終版1993年◆四六判◆560頁◆予価6300円(本体6000円)

カイエ 3

初版1995・最終版1995年◆四六判◆464頁◆予価7140円(本体6800円)

カイエ 4

初版1992・最終版1992年◆四六判◆648頁◆予価6300円(本体6000円)

20世紀という時代に立ち向かい34歳で逝った稀有の魂が、連綿と書き記した手帳(カイエ)の全体を公刊。極限の思考過程の全貌を生き生きと伝える。

25

みすず書房

実践感覚 1

ピエール・ブルデュ/今村仁司・港道隆・福井憲彦塚原史

初版1988・最終版2004年◆四六判◆288頁◆予価3465円(本体3300円)

実践感覚 2

初版1990・最終版2005年◆四六判◆280頁◆予価3465円(本体3300円)

〈実践=日常的行動〉の意味を究明し社会諸科学の基礎を構築。一方では現象学を、他方では構造主義を包摂しうる、ポスト構造主義の記念碑的業績。

26

みすず書房

見えるものと見えないもの 付・研究ノート

モーリス・メルロ=ポンティ滝浦静雄木田元

初版1989・最終版2009年◆A5判◆512頁◆予価7770円(本体7400円)

人間と世界をめぐる逆説を生きた表現に高め、現象学から新たな存在論への道を示した晩年の思索。未刊に終わった大著の草稿と「研究ノート」を収録。

27

みすず書房

心の概念

ギルバート・ライル/坂本百大・宮下治子・服部裕幸訳

初版1987・最終版2005年◆A5判◆512頁◆予価5985円(本体5700円)

心脳問題にも通じる議論を展開した、日常言語学派の基礎文献。デカルト以来の哲学的伝統を根底的に批判し、心に関する新しい概念地図を提示する。

28

みすず書房

分裂病の少女 デボラの世界

ハナ・グリーン/佐伯わか子・笠原嘉訳

初版1971・最終版2000年◆四六判◆376頁◆予価3465円(本体3300円)

狂気から現実への16歳の少女の旅路を描写し、その世界の魅力と不思議そして無限の感動を伝える。精神病理学の知見を正確にふまえて書かれた小説。

29

みすず書房

ユキの日記 病める少女の20年

笠原嘉 編

初版1978・最終版2002年◆四六判◆336頁◆予価3360円(本体3200円)

20歳で心の病を診断され28歳で世を去ったユキ。内面を8歳からほぼ毎日記した60冊のノートから、最後の主治医となった精神科医が選び、読み解く。

30

未來社

経験としての詩

フィリップ・ラクー=ラバルト/谷口博史訳

初版1997・最終版1997年◆四六判◆290頁◆予価3675円(本体3500円)

アウシュヴィッツ以後詩作することは可能か―戦後ヨーロッパの代表的詩人ツェランの後期詩篇から複数の声を聴きとる哲学的エッセイ。

31

未來社

ジェイムスン、アルチュセールマルクス

ダウリング/辻麻子訳

初版1993・最終版1993年◆四六判◆208頁◆予価2940円(本体2800円)

フレドリック・ジェイムスンの名著『政治的無意識』の難解な思想構造を、アルチュセールマルクスの思想に遡及しながら平明に解説・解読する。

32

未來社

ヘーゲルの近代国家論

アヴィネリ/高柳良治訳

初版1978・最終版1984年◆A5判◆394頁◆予価6090円(本体5800円)

ヘーゲルの著作と残留する資料から、国家論にかんする言説を可能な限り集め、体系化し、従来多義的に把えられたヘーゲルの政治哲学を解明した大著。

33

未來社

スピノザの政治思想

柴田寿子

初版2000・最終版2005年◆A5判◆326頁◆予価6090円(本体5800円)

思想史に異彩を放つスピノザ思想の政治的側面。1960年代以降のスピノザ研究を批判的に吸収しつつ、民主政のオルタナティブを提示する試み。

34

未來社

歴史家と母たち

上村忠男

初版1994・最終版1994年◆四六判◆248頁◆予価3360円(本体3200円)

現代イタリア歴史学の鬼才ギンズブルグの独得の論理と方法をめぐって、イタリア思想史研究の第一人者による包括的かつ批評性豊かな画期的研究成果。

35

未來社

死後体験

イアン・ウィルソン/池上良正、池上富美子訳

初版1990・最終版1992年◆四六判◆402頁◆予価3675円(本体3500円)

人類史のうえでさまざまなかたちであらわれる超常現象、なかでも死後のよみがえり現象を冷静に分析し、哲学思想との関連で読み解いたベストセラー。

36

未來社

社会変革と宗教倫理

ベラー/河合秀和

初版1973・最終版1985年◆A5判◆400頁◆予価5040円(本体4800円)

ベラーの論文集『信条を超えて』から独自に編集した11論文を収め、宗教と近代化の関係を諸宗教、諸地域において論じ、宗教社会学的方法を確立する。