書評空間::紀伊國屋書店 KINOKUNIYA::BOOKLOG

プロの読み手による書評ブログ

復刊候補一覧⑤ 《文学・芸術》

文学・芸術

92

紀伊國屋書店

幻想芸術

マルセル・ブリヨン坂崎乙郎

初版1968・最終版1992年◆A5判◆498頁◆予価9504円(本体8800円)

暗黒の中世から、破滅に慄く現代までの芸術表現に表れた不安、異常、怪奇のイメージ。諸作品から「幻想」の変容を追い、精神の深奥に迫る古典的名著。

93

勁草書房

映画は頭を解放する

R.W.ファスビンダー/明石政紀訳

初版1998・最終版1998年◆四六判◆232頁◆予価3240円(本体3000円)

かつてニュー・ジャーマン・シネマの旗手として脚光を浴びた監督の未知の全貌がうかがわれる著作集。まったく新たなファスビンダー像の衝撃。

94

勁草書房

サポーター新世紀 ナショナリズム帰属意識

宇都宮徹壱

初版1999・最終版1999年◆A5判◆328頁◆予価3780円(本体3500円)

サポーター──サッカーを愛し、サッカーと共に生きる人々。その思考とスタイルを紹介し、知られざる素顔を描く。写真144点を収録。

95

勁草書房

日本SF論争史

巽孝之

初版2000・最終版2001年◆A5判◆432頁◆予価5616円(本体5200円)

SFの成果を豊穣な思想史として位置づける。安部公房小松左京筒井康隆笠井潔大原まり子ら各時代を代表するSF批評全21篇を収録。

96

春秋社

田舎司祭の日記

ジョルジュ・ベルナノス/渡辺一民

初版1988・最終版1999年◆四六判◆266頁◆予価2700円(本体2500円)

貧しさ、弱さにまみれた魂が、なぜ人々を光へと導くのか? 一つの赤裸々な魂の目を通して“聖なるものとは何か”を追求したキリスト教文学の傑作。

97

春秋社

悪魔の陽のもとに

ジョルジュ・ベルナノス/山崎庸一郎訳

初版1988・最終版1999年◆四六判◆312頁◆予価2700円(本体2500円)

悪に身を落としていく少女の悲劇、死した子供の蘇り。20世紀フランス文学の鬼才が描く、悪と混沌と聖性のドラマ! 1987年カンヌ大賞の原作。

98

春秋社

自叙伝

G.K.チェスタトン吉田健一

初版1973・最終版1999年◆四六判◆448頁◆予価3780円(本体3500円)

20世紀前半、ヨーロッパの危機を背景に自由闊達に生き抜いた風変わりで特異な人物の推理小説風な、特異な物語。

99

春秋社

棒大なる針小

G.K.チェスタトン/別宮貞徳、安西徹雄

初版1975・最終版1999年◆四六判◆324頁◆予価3240円(本体3000円)

多芸多才な著者の業績のうち、ジャーナリスト、文芸批評家、シェイクスピア学者としての代表作と、逆説と警句にみちた表題作を収録。

100

春秋社

狂気と正気の間

G.K.チェスタトン/上杉明訳

初版1977・最終版1999年◆四六判◆304頁◆予価3240円(本体3000円)

社会哲学者としての著者が「資本主義と社会主義」政治体制の狭間に押しつぶされていく〈普通人〉の救済の道を模索した社会・政治論集。

101

春秋社

秘義と習俗

フラナリー・オコナー/上杉明訳

初版1982・最終版1999年◆四六判◆248頁◆予価3240円(本体3000円)

時を刻む病と戦い、死を凝視し、〈究極の救い〉を希求してやまなかったアメリカの天才女流作家の出色の文学・宗教・文明・人間論。

102

春秋社

魂と弦

イヴリー・ギトリス/今井田博

初版2000・最終版2000年◆四六判◆368頁◆予価3780円(本体3500円)

魂にふれる音。人間の内奥に響く演奏。20世紀最後にして最高のヴィルトゥオーソが長年の演奏活動、その折々の所感と波乱の人生行路を吐露。

103

春秋社

校注 良寛全歌集

谷川敏朗

初版1996・最終版2007年◆四六判◆480頁◆予価6480円(本体6000円)

短歌・旋頭歌・長歌合わせて1350首を成立時代順に配列。語注と参考の歌を掲げ現代語訳を付し、出典を明示して由之や定珍など他者作品を峻別。

104

春秋社

校注 良寛全詩集

谷川敏朗

初版1998・最終版2007年◆四六判◆528頁◆予価6480円(本体6000円)

江戸期の写本・自筆詩集・遺墨による483首を成立時代順に並べ、こなれた現代語訳と語注を付し、巻末の校異編には同案詩・他者作品も収録。

105

春秋社

校注 良寛全句集

谷川敏朗

初版2000・最終版2007年◆四六判◆288頁◆予価4320円(本体4000円)

遺墨や写本・活字本から良寛作とされる俳句107首を採用し、季語により分類。現代語訳・解説・語注を付し、良寛句の世界を親しみやすいものにした。

106

春秋社

柳宗悦選集③ 工芸文化

柳宗悦

初版1972・最終版1972年◆四六判◆370頁◆予価2700円(本体2500円)

工芸のもつ位置、とくに造形の領域における美術と工芸との繋がりを詳説し、その特質とその限界を指摘する。日本における最初の体系的工芸美論。

107

春秋社

柳宗悦選集④ 朝鮮とその芸術

柳宗悦

初版1972・最終版1972年◆四六判◆366頁◆予価2700円(本体2500円)

李朝の陶磁器・石仏・木工品等、長いあいだ埋もれていた朝鮮固有の工芸品を渉猟し、前人未到の美の世界を発見した記念碑的記録。

108

春秋社

柳宗悦選集⑧ 物と美

柳宗悦

初版1972・最終版1972年◆四六判◆388頁◆予価2700円(本体2500円)

この世に隠れている美しいものを見出す心は、美を創造する心でもある。本書は美しいものの発見譚であり、工芸理論の創造の物語でもある。

109

白水社

評伝 イサム・ノグチ

ドーレ・アシュトン/笹谷純雄訳

初版1997・最終版2003年◆A5判◆398頁◆予価6480円(本体6000円)

響きあう東洋と西洋。彫刻家イサム・ノグチが生んだ壮大な宇宙を肉声とともに跡づけ、波乱に満ちた遍歴と探究の生涯に迫る。図版多数・年譜・人名索引付。

110

白水社

自由の創出 十八世紀の芸術と思想

ジャン・スタロビンスキー/小西嘉幸

初版1982・最終版1999年◆A5判◆258頁◆予価4968円(本体4600円)

ヨーロッパ精神史のパースペクティヴのなかに、ロココから革命にいたる18世紀の芸術・思想・文化の総体を解明した画期的な労作。

111

白水社

ピラネージの黒い脳髄白水社アートコレクション)

マルグリット・ユルスナール/多田智満子訳

初版1985・最終版1994年◆A5判◆108頁◆予価3024円(本体2800円)

空想と誇大妄想の《牢獄》、古代および近代ローマを記録した《風景》。幻想の銅版画家の「廃墟」の詩情を、古代の復元に賭ける文豪が綴る美術エッセイ。

112

白水社

シューベルト 友人たちの回想

オットー・エーリヒ・ドイッチュ編/石井不二雄

初版1978・最終版1978年◆四六判◆530頁◆予価5940円(本体5500円)

シューベルト研究の権威が編纂した最も基本的な伝記資料。その人間と芸術がありありと描かれるとともに、19世紀初頭ウィーンの貴重な歴史資料ともなっている。

113

白水社

クレンペラーとの対話

ピーター・ヘイワース/佐藤章訳

初版1976・最終版1999年◆四六判◆280頁◆予価4968円(本体4600円)

音楽史に偉大な足跡を残した巨匠が、政治的圧力、周囲の無理解をはねのけ、数多の苦難より再起した人生、音楽観、名演を回想する。

114

白水社

特権的肉体論

唐十郎

初版1997・最終版2004年◆四六判◆216頁◆予価3456円(本体3200円)

1960〜90年代に発表した文章をもとにした著者自選のエッセイ集。唐十郎の思索の軌跡が見えるとともに、現代演劇における身体論の到達点でもある。

115

白水社

ジョイス論・プルースト ベケット詩・評論集

サミュエル・ベケット高橋康也ほか訳

初版1996・最終版2000年◆四六判◆292頁◆予価4104円(本体3800円)

フィネガンズ・ウェイク』を語りながらベケット自らを語るジョイス論と、『失われた時を求めて』の本質を鋭くえぐるプルースト論。最初期の詩作等も収録。

116

法政大学出版局

フランスを知る

東京都立大学フランス文学研究室編

初版2003・最終版2005年◆A5判◆330頁◆予価4212円(本体3900円)

言語、文学、社会、歴史、宗教、思想、さらにパリと地方、人物、出来事、日本との交流など多様なテーマを最新の知見や情報を織りまぜ明快に解説する総合的入門書。

117

みすず書房

この私、クラウディウス

ロバート・グレーヴズ/多田智満子、赤井敏夫

初版2001・最終版2001年◆四六判◆480頁◆予価4536円(本体4200円)

病弱で吃音症、足をひきずり歴史書に埋もれ、帝位など夢みたこともなかったはずの、この私が… 謎の第四代ローマ皇帝の〈自伝〉? 傑作歴史小説

118

みすず書房

うつわの歌

神谷美恵子

初版1989・最終版1993年◆四六判◆184頁◆予価2592円(本体2400円)

召命に生きた一人の精神科医の姿を予示する、清冽な抒情と宗教感の漲った詩篇。ロゼッティとジブラーンの訳詩、キリスト教を語るエッセーを収録。

119

みすず書房

ルドン 私自身に

オディロン・ルドン/池辺一郎訳

初版1983・最終版2007年◆A5判◆248頁◆予価3888円(本体3600円)

少年の日の記憶、普仏戦争での一兵卒としての体験、植物学者や銅版画家との交流など。幻想の画家による限りなく美しい約100編の断章を収録する。

120

みすず書房

ジャコメッティ

矢内原伊作/宇佐見英治、武田昭彦編

初版1996・最終版2006年◆A5判◆362頁◆予価5940円(本体5500円)

幻の本『ジャコメッティとともに』に、未発表の日記・手帖・手紙を収録。芸術家の日夜、対話の貴重な記録によって、ヤナイハラの名は不滅となる。

121

未來社

ピカソの時代

末永照和

初版1972・最終版1972年◆四六判◆370頁◆予価4104円(本体3800円)

〔現代画家論〕ピカソ、ミノトール、ヴォルス、ミショー、マグリット、斎藤重など代表的画家を瑞々しい感覚で論じた新進評論家の処女芸術家論。

122

未來社

親と子の夜

上野英信/千田梅二画

初版1959・最終版1984年◆A5判◆198頁◆予価3024円(本体2800円)

戦後の炭鉱の英雄時代を描いた記念碑的版画物語。『せんぶりせんじが笑った!』『はじめての発言』『親と子の夜』『ひとくわぼり』ほか5篇収録。