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青い鳥/重松清

青い鳥
重松清

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7/4/2013 9:48:06
文学部人文学科美学専修
2年生・女性

あなたが誰かに贈りたい本はありますか?その本の名前と著者名をお書きください。

青い鳥/重松清

その本をどんな人に贈りたいですか?

中学生

どんな内容の本ですか?簡単なあらすじや、設定などをお書きください。

吃音の中学校教師・村内先生との出会いと別れを8人の生徒の視点から描いた、連続性のある短編集。

あなたはその本と、どのようにして出会いましたか?

母がある日、「本屋で立ち読みしてたら泣きそうになった」と言って何の脈絡もなく買ってきた。

その本を受け取った人に、どのように思ってほしいですか?

どのように思うか、感じるかは人それぞれで、それが読書の醍醐味とも言える。
ただ一つくさい言い方をすると、この本は「あなたは一人ではない」という癒しと温もりを読者にくれる。
「多感」で片付けられてしまう中学生の、繊細な葛藤や激しさや、独りよがりの幼ささえ全部受け入れる、本作品の包容力に当時中学生だった私はいく度となく涙した。
ただ甘ったるく優しいお涙頂戴ものの小説なら私は泣かないし、興ざめだったと思う。一筋縄ではいかないこの年代の複雑な感情の動きを、必死に捉えようとする力強さに心打たれたのだ。
中学生にはぜひ一度手にとって欲しいし、疲れた大人にはもっと読んでみて欲しい。
重松清の書くものには活字から人肌の温度みたいなものが感じられる。だから不思議でくすぐったい魅力がある。その人の繊細な弱さに寄り添う彼の世界観に身を委ねてもらえれば。