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『エリック・クラプトン自伝』<br> エリック・クラプトン(著)中江昌彦(訳)(イースト・プレス)

エリック・クラプトン自伝

→紀伊國屋書店で購入

「私はどこにいても違和感を感じて」

(BGM: Truth Be Told & Serendipity (Tal Wilkenfeld))

夢の中で花言葉を教えてくれた人は

何の違和感もなく

私の横でこうして普通にしていてくれる

だから、夢から覚めた世界では

本当はもういいんですが

朝から晩まで

私はどこにいても違和感を感じて

正直には言えませんし

目を閉じると皮膚の表面がボ〜っとザワザワする感じで

いつも思います

何でここにいるのだろうと

何でこのソサエティの中にいるのだろうと

100人か200人か300人かの前に立って

あたかもこれが天職のように話しながらも

幽体離脱しなが自分を客観的に観るように

もういいから、勘弁してくれと思う間もなく

それでもどうしても違和感がない場所はなく

私は仕方がなくそうしているだけで

だから、本当はほとんど何もいりません

スキンヘッドは

大学にいれば教員で

ライブハウスにいればオルタネティブで

お寺にいれば霊能者で

客引きの路上にいれば危ないおじさんで

スタジアムにいればサッカーファンで

ランニングマシンにいれば、この人何をやっている人なんだろう

だから、どこにいても、どこにいなくてもいい

だから、教員でオルタネティブで霊能者で危ないおじさんでエセサッカーファンで、この人何をやっている人なんだろう程度で良いので、教員だけ、オルタネティブだけ、エセ霊能者だけ、危ないおじさんだけ、は辞めてほしい

見慣れた風景が、ある時違う風景に観えるのとはまた違い

多分、走り込みが足りないのかもしれず

一度に余計なことを考え過ぎることが良くないのだと思い

一度に余計なことを考え過ぎることは良くないことなのに

四半世紀前にそれを修正したはずなのに

またぶり返している

私にとって

先が見えてくる人生なんて、ありえなかった訳で

後10年もすれば、こういう生活ともおさらばで引退だなんて

わたしはこの50年以上もの間、何をやってきたのでしょうか

そうなると

もっと真実を言った方が良いのかな、とか

年甲斐もなく迷ってしまう

あまりにも言わなさ過ぎは、長期的には人に迷惑をかけることになる

この朝もやは、全く私には関係なく

「全てを語れる時を、私は待っている」

ただ、クラプトンと同じ溺れた運命とこの違和感だけは避けたい

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