『日本語は生きのびるか――米中日の文化史的三角関係』平川祐弘(河出書房新社)
河出ブックス、2月上旬発売のタイトルをご紹介していきます。
1点目は、平川祐弘さんの『日本語は生きのびるか――米中日の文化史的三角関係』です。
平川さんは、比較文学者で、東京大学名誉教授。フランス、イタリア、ドイツの留学経験を持ち、東大教養学部の他、北米、中国、台湾等でも教鞭をとられてきました。名訳の誉れ高い、ダンテ『神曲 地獄篇・煉獄篇・天国篇』などの翻訳のお仕事でも知られています。
今回の本は、国際文化史を背景に考察する、画期的な日本語論です。英語が世界の支配語となる時代、辺境の国の言語・日本語は生きのびることができるか?
平川さんから読者のみなさんへのメッセージです。
「日本人は、もはや日本語の壁の中で鎖国を続けることは無理である。私たちは日本語の民として生き続けられるのか。それとも、語学難民となるのか。日本の文化的自主性はどうしたら守り得るのか。ぜひ御一読を」
目次は以下のとおりです。
はじめに
第一章 日本語の生存空間――米中日の三角関係を文化史的に鳥瞰する
一 文化直流の歴史
二 周辺国としての日本
三 周辺文化国をめぐる心理
四 漢字文化圏の諸問題
五 米中日の諸関係
第二章 留学生の文化史的意味――一国一辺倒を排す
第三章 衝突か対話か――近代日本の二面性
第四章 混淆文化礼讃――異文化を受容しつつアイデンティティーをいかに保つか
第五章 支配言語とナショナルな詩論の発生――周辺言語の自立とは何か
第六章 グローバル化時代の英語教育――内外の教養を備えた多力者を養成せよ
人生のおわりに――あとがきに代えて
日本/日本語への関心は止むことがないようで、話題書も次々と出てきますね。水村美苗『日本語が亡びるとき』や内田樹『日本辺境論』などと読む比べていただくのも一興かもしれません。