第22位 『花まんま』朱川湊人
(文藝春秋/1,650円/4163238409)
「花まんま」を読んだ人は懐かしいと言う。20代も30代も40代も。パルナスを知っているひとも知らない人も。それは多分、レトロに作られた昭和の町並みを平成生まれの少年少女たちが懐かしいと感じる事に通じる。6つの引出しの中には懐かしさや切なさ、妹を思いやる兄や奇妙な生物、恐ろしい呪文が入っている。その全てに共通するのは「死」と言う重い言葉。しかし、読後は銭湯で飲むラムネのように爽やかだ。優しく耳に残る心地よい関西弁がその理由だと思う。
【松野満帆・本町店】