第5位 『ミーナの行進』 小川洋子
(中央公論新社/税込1,680円)
子供から少女へ変わる頃の煌くような想い出の世界。芦屋のお屋敷、一風変わった家族、マッチ箱、ミュンヘンオリンピック、淡い初恋。時に切なく、限りなく優しい日々。まるでおとぎ話のようなこの心地よい温かさは、小説でなければ絶対に味わえない。とにかく読んで、そして浸ってみて欲しい。
(兵頭佳美・秘書室)
やさしさに溢れた、きらめくような思い出がいっぱい詰まった本です。美しく繊細な少女ミーナ。彼女を慈しむ家族たち。そこで暮らすことになった朋子。カバのポチ子。フレッシーの味。色とりどりのマッチ箱のラベル。そこから紡ぎだされる童話。小さな秘密。淡い初恋。「ミーナ死なないで」。そんな願いをこめて読み続けました。そして読み終えたとき、もう帰らない日々と会えない人々に、愛おしさすら覚えたのでした。
(中村勝治・新宿本店)