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第3位 『のぼうの城』 和田竜

のぼうの城

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小学館/税込1,575円)


膨大な参考文献を駆使して忍城の攻防を描いた歴史小説。でも、登場人物が、これほど生き生きと書かれている歴史小説はマレです。石田三成率いる二万の軍勢を敵に回して主人公と共にイザ、籠城!

〔堺北花田店・大曽根康雄〕


わしは悪人になる。戦を嫌い、畑仕事を好み領民にのぼう様と呼ばれ慕われる男、成田長親の根城忍城水攻めを破る作戦は、この男しかできぬ策であった。決して力で解決しようとせず、心に訴えかける。身を挺して守る。彼を慕い、付き従う忠臣たちや領民も魅力溢れるキャラ。そして敵大将石田三成の男気にも魅せられる。歴史小説と時代小説を巧みに融合させた、新しい小説。初めてでも玄人読みでも読んで損なし大満足の一冊です。※私は今、映像化した場合の配役を密かに勝手に考え中です。

〔本町店・中山文子〕

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