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『無理なく続けられる 年収10倍アップ勉強法』勝間和代(ディスカヴァー・トゥエンティワン)

無理なく続けられる 年収10倍アップ勉強法

→紀伊國屋書店で購入

「勉強の楽しさを思い出させる名著」

 この1年ほど、仕事のノウハウを紹介した書籍、いわゆる「勉強本」を乱読してきた。「ライフハック」というキーワードで何冊か読み、ノウハウを取り入れた。システム手帳の使い方の解説本も読んだ。半年もすると、書棚の一角は「勉強本」に占領された。

 フリーランスで仕事をしていると、現場はいつもひとり。結果が出れば好きなように仕事を進行してよい、ということになりがち。そのかわり、へんな仕事の仕方をすると、あっという間に、仕事の限界量に達してしまう。時間はいつも不足している。

 スキルアップのためには、他者のノウハウから学ぶのがもっとも効率的であるということは、頭ではわかっていたが、実用書というジャンルをどこか軽んじていたと思う。その先入観を変えたのは、年下できわめて仕事が速い人間と話すようになったからである。サクサク仕事ができるのは、仕事に向かう発想が私とはまったく違うからである。30歳前後の彼らは若い。体力に任せて仕事をする、ということもわかってきた。その仕事の方法を安易に真似しても、こっちの体力が続かない。

 人間40歳を超えると、体力が低下する。体力に見合った形に仕事の仕方を変更する必要がある。さて困ったぞ、と思っていたとき、本書と出会ったのです。

 最初の数ページを読み、著者が三児の母であることを知って、すぐに書店のレジに向かいました。

 著者の勝間和代氏は、あとがきでこう書いています。

「私はこれまで、会計士・IT・英語・ファイナンスなどの技能をプロの水準として短期間で習得してきました。その技能を生かして、いまも仕事として、いろいろなこと(大学院博士課程での研究、投資顧問会社の経営、本の執筆、新聞・雑誌への連載、政府の専門委員、ムギ畑の運営、それに三人の娘の子育て)を平行して実現してきています。

 よく、周りの人に、「いつ寝ているのですか」と聞かれますが、この本で書いてきたような「勉強のノウハウ」がしっかりしていれば、時間管理で困ることはほとんどありません。新しいことを習得するのに、さほど時間がかからないうえ、そのことをアウトプットすることも速くなるためです」

 三児の母にして、これほど仕事ができるんだ! 私の常識を越えたノウハウがある、ということは一瞬でわかりました。

 書棚に収まっている「勉強本」を見直してみました。著者のほとんどは男性だったのです。彼らのほとんどはひとつの会社に帰属しており、仕事(生活)のマルチ化はしていなかったこともわかりました。

 読了後、簿記とTOEICの勉強をすることを決意。関連書を注文したり資料請求することになります。耳から情報を収集するために、ノイズキャンセリング機能つきのイヤホンを約1万円で購入しました。こんなにやる気満々になったこと、大学卒業以来じゃないかな。

 私も勉強は大好きな人間です。勝間氏のように楽観的に勉強をしてこなかったと思う。

 勉強をすると年収があがる、だから勉強しよう!

 こんなふうにシンプルに考えて、行動するのは、ちょっと恥ずかしいなぁ、と思っていました。でも、それはもったいない。せっかく勉強が好きなのだから。好きなことを仕事にして、お金に変えていくことは楽しい。それに40歳になれば、いろいろなことがおきる。生活も仕事もマルチ化していくのが普通。これからどんどん時間がなくなるのかな、とげんなりしていました。が、どんなに仕事が増えても、楽しく勉強を続けていくための仕組みがある。この本によってやっとわかりました。

 買ってから1週間たちますが、10回以上読み返しています。

 ありがとう! 勝間さん。

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