『おうちで楽しむにほんの行事』広田千悦子(技術評論社)
「暮らしの中のにほん」
私は日本で生まれ、日本で育っている。
でも、どれだけ日本のことを理解して紹介できるかな、と思ったとき
なにも難しく考えることはひとつもなく、何気ない暮らしのなかにたくさんのにほんの文化が息づいている、とあるとき悟ったのだ。むしろそれを伝えていく使命さえ感じたのだ。
丁寧なおだやかな暮らしを端折らずやろう、と思った瞬間、その「にほん」が顔を出す。まだまだ、自分の中に残っている、祖父母、親世代が与えてくれたものを感じるのだ。
それは、ある見方からはもしかすると「無駄」だったり「ただの迷信」などど一笑に付されることもあるかもしれないが、毎日の暮らしを紡いでいるものたちにしてみれば、そういったちょっとした「ハレ」があることが生活のリズムをつくりだしてきたのだ。行事とはそういうものだったのだ。
手に取ったそのてざわりから、丁寧でおだやかな「気」がながれてきて、急に息が楽になったような気分になる。本をひらけば、あたたかなイラストとコメントが実にほっこりと、はりつめた気持ちをゆるめてくれる。
もうすぐこどもの日。
こどもの日ってこいのぼりと菖蒲湯。かぶとださなくちゃ。
かしわもちはみそあんがいいな。
・・・そんな、「グッズ」や「イベント」でつなぐような一日ではなく
ゆったりとした気持ちでこどもといっしょに楽しめますように。